2011年10月15日(土)

パリで大流行の南部鉄器

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 パリで南部鉄器が流行っていると言う新聞記事を1年くらい前に見ました。グリーンの鉄瓶の写真が載っており、「なんだ、滅茶カッコいいじゃん」と思い、日本橋三越にどんなものがあるのか見に行きました。ところが三越デパートには、昔ながらの黒い鉄瓶に、黒い茶器しか置いてません。新聞で書いてあるほどの出来事は起きていなかったのかと、がっかりして帰ってきました。

 それが、日本航空の雑誌「AGORA」9月号に、「南部鉄器が挑む道」という嬉しい記事が出ていました。日本ではステンレスやアルミに押されて縮小している南部鉄器が、海外では急速に市場を拡大していると言うのです。記事で取り上げられていたのは、盛岡市の岩鋳(いわちゅう)という1902年創業のメーカーさんです。

 http://www.iwachu.co.jp/

・25年前フランスの紅茶専門店マリアージュ・フレールが、丈夫で長持ちする男性的素材でティーポットを作り、新しい紅茶の習慣を提案しようと考えた。それまでは年配の女性が好むような花柄の陶器ばかりだった。

・そこで目を付けたのが南部鉄器。盛岡の岩鋳と知り合い、パリで広く普及させるために、①ティーポット内部にホーロー加工を施すこと ②黒1色ではなく、青、赤、緑などのポップな色を付けること、を要請した。

・黒以外の色付けをするのは容易ではなく、マリアージュ社の好みの色を出せるようになるまで2年を要した。岩鋳も海外展開しようと1976年からフランクフルトの見本市に出展していたが、全く注目されなかった。良い物は必ず売れると思っていたが、結果を見ると黒い鉄瓶ばかり売ろうとしたのは、日本文化の押し売りだったことに今となっては気付く。

 こうして完成したホーロー加工のポップな鉄瓶は、パリッ子の心を捉えヒット商品になります。現在はブームも落ち着いたものの、マリアージュ社では昨年は1150個売れたそうです。

 南部鉄器の製造方法は江戸時代に完成。現在もその技術を基本的に踏襲しており、今でも手作業で仕上げる多くの工程が必要だそうです。1500度で溶解した銑鉄を砂の鋳型に流し込み作り上げる。これも銑鉄を流し入れるスピードや液の量で仕上がりも微妙に異なるそうです。

 パリでの成功をきっかけに岩鋳社では、現在10か国と取引。ここ3、4年で大きく伸び、年間50万点を輸出しているそうです。売り上げに占める輸出割合は6割を占めており、早晩7割、8割を目指しています。米国でも広くファンを獲得し、中国でも南部鉄器を使うことでプーアール茶の味がふくよかになるとお茶屋さんが感動し、需要が一気に高まったそうです。

 日本の素晴らしい伝統文化、伝承技術が、少しの調味料を加えることで海外に認められた好例だと思います。銅器、和紙、桐ダンス、漆器、畳、日本庭園。海外で新たな需要を見つけられる素材は、無数にありそうです。

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