2017年6月20日(火)

小型木質バイオマス発電 VOLTER40

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

たった40kwの小型木質バイオマス発電があることを知りました。フィンランドの会社が作った発電機で、秋田県信用組合が普及に力を入れているそうです。「ハウス栽培などで秋田県では雪の問題がある。ハウス栽培にバイオマス発電の廃熱を利用した水耕栽培に活路を見出したい。」と、発電だけでなく廃熱を使って冬場のハウス農業に生かす戦略だそうです。

日本ドームハウスの農業用ハウスを使えば、ハウスが雪で壊れる心配もなくなるし、降雪時期の農業にチャレンジできそうです。

このフィンランド製の超小型木質バイオマス発電機の名称は「VOLTER40」。日本での販売会社VORTER JAPANは、現在本社を秋田県北秋田市に移転して活動しています。

VOLTER40のスペックは、最大出力40kwで1台約4000万円。kw当たりだと100万円の投資になります。売電による年間売上は約1200万円を想定しています。限界集落にこの発電機を設置して売上金を村づくりに回せば里地里山が活性化することができると期待されています。

VORTER JAPANのHPを見ると、下記内容となっています。

①VOLTER40は7800時間(325日)の連続運転時間を達成

電力買取価格(FIT:feed in tarif)は20年間固定買取制度。税抜の価格は

・間伐材由来 2000kw未満は40円/kw、

間伐材由来でも2000kw以上は32円/kw

・メタン発酵ガス 39円/kw

・一般木質、農産物 24円/kw

・建設資材廃棄物 13円/kw

・一般廃棄物 17円/kw

7800時間×40kw×買取価格40円/kw=1248万円(約1200万円)と確かに、年間1200万円の売上が達成できる計算になります。

②VOLTER40はどこでも設置可能

ガス化炉から発電機までを非常にコンパクトに収納している。集合住宅やビルの地下部分、ショッピングセンターの施設内でも設置可能。建築コストを抑えながら発電と廃熱利用を行える。

③遠隔監視可能

自動運転と遠隔監視が可能。運転状況はインターネットを通じてノートPC等で確認できる。そばで監視している必要がない。

④必要なエネルギー量(デマンド)に合わせて発電出力を調整可能

余った電力を蓄電(オフグリッド・オプション)することで、ピーク時の対応や非常用電源として活用できる。

⑤VOLTER40ができた経緯

1997年フィンランドのユハ・シピラ氏が発明した。気に入った別荘を購入し電気を引こうとしたら系統させるのに1000万円単位の負担を求められた。何とかしようと自前で発電ができないかを考えた。

オフグリッド(外部から電気を調達しない。自前で電気を賄うという考え方)でも熱と電気を生み出せるCHPプラント(Combined Heat and Power。電気とともに熱も生産する。)を作ろうと、研究機関、大学、友人たちが集まり研究がスタート。10年かけて試作品が完成。VOLTERと名付けられた。シピラ氏はITエンジニア、経営者を経てベンチャー投資家として多くの企業を成功に導いてきた人物。その後第65代フィンランド首相になる。

⑥必要な木質チップ量

大型バイオマス発電機(5000kw)だと、木質チップ調達量が60000トン必要になる。さらに冷却用に工業用水が年間6000万円から9000万円費用が掛かる。VOLTER40は1台だと、チップ調達量520トン。冷却用の工業用水は不要。

⑦VOLTER40の大きさ、平均数値

コンパクトなボディ(幅1.2m、奥行4.8m、高さ2.5m)。ガス化炉、フィルター、ガスエンジン、発電機、灰排出装置まですべて納まる。このプラントにより熱100kwと電力40kw/hが得られる。

連続運転のアベレージは

1)発電端出力  39.4KW

2)熱出力    99.9KW

3)チップ消費量 815kg/日

4)灰排出量   19.1kg/日(23.4%)

5)凝縮水排出量 18.2ℓ/日

6)チップ含水率 14.6wt%

7)ガス化炉温度 1035度

 

事業的に考えると、総投資4000万円を15年償却とすると年間約270万円。売上1200万円あれば、930万円が燃料代、保守点検料、利益となります。燃料となる木質チップを地域内で供給できれば、これらは基本里山の住人に落ちるお金となります。

木質バイオマス発電は5000kw以上の大型のものでないと採算に合わないと聞いたことがあります。ただこれだけ大きいと前述の通り、年間6万トンの木質チップと冷却用の水代が掛かります。

しかしVOLTER40を使って身の丈にあった発電をすれば、チップ供給の問題もなく、廃熱を利用して冬場のハウス栽培を行うことができます。間違いなく儲かる仕組みであれば、地域の金融機関も融資をすることができます。リスクの高いアパートローンに比べれば非常に有意義であり、だから秋田県信用組合は熱心に取り組んでいるのでしょう。

秋田と同じような環境の東北、日本海側など雪の多い里山地域には有望な事業として広がって欲しいと考えています。VOLTER40が1万基設置されれば、毎年約1000億円が里山地域に持続的にお金が落ちるようになるので。

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