李氏朝鮮時代の韓国では僧侶の身分が下層階級

都市鑑定アドバイザリー（株） 不動産鑑定士　田中祥司

百田尚樹氏の著書「今こそ、韓国に謝ろう」の中で、日韓併合前の李氏朝鮮時代の凄まじい身分差別が書かれていました。

・王、貴族がいて、その下が両班（やんぱん）。両班は儒教思想を強く受けているために、「身分の高い者は汗水たらして働くことをしない。そういう労働は下層の民が行うこと。自分たちは働かず、常民、白丁に何でもやらせればよい。」と考えていた。お金がなくなると、近隣の民から食料、鶏、卵を奪いお金を払わない。気に入った女性がいれば妾にして弄ぶ。気に入らない常民がいれば、拷問にかけなぶり殺すと、やりたい放題の存在。それでもほとんどの韓国人は、見栄で「自分の祖先は両班である。」と答える。

・両班までが特権階級で、その下が常民。常民の下が賤民階層で、李氏朝鮮の前の高麗時代から七賤（しちせん）と呼ばれた賤民がいた。商人、船夫、獄夫、逓夫、僧侶、白丁（ぺくちょん）、巫女。

・賤民の中でも最も身分が下だったのが白丁。元々は中国律令制において、公の職を持たない無位無冠の良民の男子のことを指す言葉だった。日本でもほぼ同様の意味だった。韓国でも高麗時代まではそうだったが、李氏朝鮮時代になり被差別民を表す言葉になった。戸籍もなく、姓もない。常民と結婚することを禁止され、日当たりの良いところで暮らすことを禁止。文字を知ることを禁止。葬式で棺桶を使うことを禁止され、墓を建てることを禁止。一般民の前で胸を張って歩くことを禁止。白丁が禁止事項を破ると、むち打ち刑、足を折ること、リンチで殺害されることもあった。

・白丁の下には、奴隷（奴卑）が約３割いた。奴隷は人間として扱われない、勝手に売買することも、どんな暴力をふるうことも、殺してしまうことも自由だった。

こんなひどい差別社会があったのかと驚きです。今の北朝鮮よりもひどい社会です。そしてこの賤民階級の中に、僧侶がいるのが不思議な感覚です。元々朝鮮半島から日本へ仏教が伝来しているし、アジアの国では僧侶は尊敬される存在であることはあっても、蔑まれる存在というのがピンと来ません。朴槿恵元大統領が友人の崔順実（チェスンシル）に操られた。彼女は巫女（新興宗教教祖の娘）で、韓国では蔑まれる存在だから韓国民の怒りを一層買った。そう書いてあった記事もあったので巫女は蔑まれるのは理解しましたが、何故僧侶まで蔑むのか。

李氏朝鮮時代の前の高麗までは仏教は庇護されていたのが、李氏朝鮮時代になると儒教の教えが中心となり、仏教を弾圧という流れになったそうです。儒教は支配者階層が世の中を治めるために都合の良い理論で構成されています。商売を行ってお金儲けをすることは卑しい身分の者がすること。汗水たらして働くのは貧しいものに任せておく等々。

李氏朝鮮の始まりは１３９２年（１４世紀後半）です。そうなると、対馬の仏像略奪事件（２０１２年と２０１４年の２回盗難にあっている）とはなんだったんだろう。

韓国の裁判で仏像を奪われたと主張している韓国の浮石寺は、「５００年〜６００年前に倭寇が強奪した仏像だ。」と主張しています。

奪われた側の対馬の観音寺・田中節孝前住職は、「仏像は李氏朝鮮時代の仏教弾圧から守るために対馬に持ち込まれ、大切に守ってきたもの。韓国人から感謝されることはあっても、「略奪」呼ばわりするとは、開いた口がふさがらない。」とインタビューで答えているそうです。

この時期の朝鮮半島は仏教弾圧真っ最中で、各地で寺が焼かれ、仏像が破壊されていた時期。全国に１万以上あった寺院が、李氏朝鮮国家の保護に置かれたのは当初２４２寺院。その後さらに庇護された寺院は３６にまで減少。

日本が韓国から仏像を盗んだのを盗み返しただけだから悪いことをしていない、というのが窃盗団の理屈です。驚くことにこの滅茶苦茶な理屈を支持してしまったのが、韓国の大田（テジョン）地方裁判所です。李氏朝鮮時代の仏教弾圧の歴史を韓国の裁判官はきれいに忘れてしまっているのでしょうか。

普通の国にはある宗教寺院をことごとく打ち壊し、その後５００年も続いた李氏朝鮮時代。この暗黒時代の空白感が、韓国には文化が育たず、韓国人の道徳心の一部を棄損してしまったと思えてなりません。

追記１　韓国の２００５年国勢調査で、仏教が２２．８％、プロテスタントが１８．３％、カトリックが１０．９％、儒教０．２％となっています。宗教を信じる国民が増えてきたのも日韓併合後となります。