2011年11月21日(月)
福島県須賀川市の鎮魂の祭り、松明(たいまつ)あかし
東日本大震災時に震度6強と猛烈に揺れた福島県の須賀川市。内陸なので津波の被害はなかったものの、市役所が使用不能になるなど大きな地震の被害が出ています。原発の放射能汚染問題で地元産農産物が売れにくく、農業、観光にも深刻な影響が出ています。加えて9月の台風15号の被害で川が氾濫し浸水被害もあり、三重苦に見舞われています。
現在使用できない須賀川市役所
この須賀川市の恒例の一大イベントが、「松明あかし」というお祭りです。今年は震災の影響で開催が危ぶまれましたが、11月12日に無事に開催されました。
10月上旬に銀座ミツバチプロジェクトが主催する都市農村交流のイベント「ファームエイド」で、須賀川の橋本市長、商工会議所会頭たちが来て松明あかしの紹介をしてくれました。この祭りは収穫を祝うような明るいものではなく、戦国時代に戦で敗れ死んでいった武将たちを弔う鎮魂の祈りだと言うのです。今年は東北で2万人もの死者・行方不明者を出した震災の年ですので、須賀川の鎮魂の祭りは例年以上に大きな意味合いを持っています。
「須賀川まちなか観光推進倶楽部」東京事務局の大越貴之さんが、東京からツアー客を集めようと言うことになり、須賀川市の復興を何かと応援している銀座ミツバチプロジェクトに協力を依頼。短期間の内に30人近くが集まり、これに私も交ぜてもらいました。
一時期は須賀川市民にとって欠くことのできない「松明あかし」の開催が危ぶまれていました。その最大の要因は大量に使う、松明用の萱が集められなかったためです。萱自体はちゃんとあるのですが少量のセシウムが検出されたので、地元産は使わないことになり松明が作れない怖れがありました。これを知った東北各地の市町村が大量の萱を須賀川に持ってきてくれ、何とか松明を作ることができました。ホテルの多くも被災しており、この祭りに来るお客様を迎えるために一日も早く開業しようと頑張ってきました。
そもそもこの松明あかしの起源は、今から約420年前の戦国時代にさかのぼります。
・約420年前の須賀川の地は二階堂一族が治めていた(1189年から約400年続いた名家)。仙台では伊達正宗が台頭し、1589年に会津黒川城の芦名氏を倒した後、次は須賀川を狙っていた。その時の須賀川城主は、前年に主人を亡くした大乗院(殿様の奥方)。また伊達正宗とは叔母、甥という親戚関係にあった。
・同年10月に伊達正宗が須賀川に戦いを挑み、二階堂一族は須賀川城に集結。激しい戦いを挑みながら、伊達正宗に内通していた須賀川家家臣により点けられた火が城下に燃え広がり、籠城していた二階堂一族、家臣のほとんどが亡くなった。
・その死者の霊を鎮めるために藁や萱(かや)を巻いた大きな松明を、小高い丘の五老山まで運び、大きな松明を立てて一斉に火を点ける祭りが始まった。
現在では、長さが10m以上もある大きな松明が何十本も作られ、それを松明として燃やす火祭りとなっています。男性が担ぐ大松明と、女性が担ぐ姫松明を須賀川駅付近から会場となる五老山(ごろうざん)の麓まで1kmくらい練り歩き、夜になると松明に点火して亡き魂を弔います。
担がれて運ばれる大松明
姫松明先頭の須賀川美人
松明に火が付けられるのは19時くらいからですが、その前に秋田市から応援の皆さんが竿灯祭りを披露してくれました。年に1回で終わってしまうこういう有名な祭りが、色々理由を付けて他のところでも楽しめることは大賛成です。
秋田の竿灯祭りの皆さん
我々は、18時半くらいから1mくらいの棒に灯油に付けた丸めたタオルを吊るし、これに火を付けた小松明(こたいまつ)を持って、五老山まで上がります。19時くらいになると、大松明から一本づつ松明を持った人が梯子で上まで登り火を放ちます。1、2分置きくらいに次から次への松明に点火されて行きます。
松明に次々と点火
燃え上がる松明群
すっかり暗くなった夜空に、ごうごうと火を上げる巨大松明。「危険ですから充分注意して下さい」と鳴りやまないアナウンス。危険と言われても、皆火を見に来ているのだからどうしようもない。終盤になってお城の形をした城仕掛け松明にも点火していきます。
フィナーレに近づき、燃え盛る松明群
城仕掛け松明
今年は30本くらいの松明だったそうですが、これでも例年より少なかったそうです。危険だけど、充分に見応えのある須賀川の松明あかし。来年はより多くの人を誘い、参加したいと思っています。
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