2011年12月24日(土)
日本の至宝、有田焼の秘密
日本を代表する焼き物の佐賀県の有田焼。10月に有田を訪ねた折、有田焼に関する様々な知識を得ることができました。
・有田焼のルーツは、1592年肥前藩主鍋島直茂が秀吉による朝鮮出兵から戻る際に、朝鮮半島にいた陶工を大勢連れて帰ってきたこと。その中に李参平(りさんぺい)という名工がいて、彼が有田焼の基本的技術を育てた。すなわち朝鮮半島に既にあった磁器の技術を肥前藩鍋島家が導入した。
・李参平は故郷で焼いていた磁器を日本でも作りたいと思い、磁器に合う石山を肥前藩内で捜し歩き、とうとう有田の地で発見。磁器は粘土ではなく、石(白磁石)を粉にしてそれを練って土にする手法。粘土から作る陶器は表面が茶系だが、石から作る磁器は白い表面となるので、そこに鮮やかな色付けをすることで美しい焼き物を作ることができた。
・肥前藩は李参平が完成させた技法を門外不出とするために、有田の北方にある三方を山に囲まれた大川内山の麓に陶工を集め、塀で囲んで関所を設け部外者が入って来れない有田焼の工業団地を作った。これが現在も多くの窯が集まっている伊万里。
・柳川藩の武家出身の初代柿右衛門は、陶祖・李参平が有田焼の技法を完成させた翌年に、李参平のもとに弟子入りし技法を学ぶ。柿右衛門が1645年に赤付、色絵に成功し、柿右衛門様式を完成させる。
・伊万里の里の西側に伊万里港があり、1650年頃から西欧に輸出されるようになった。この輸出を取り仕切ったのがオランダの東インド会社(Vereenigde Oostindische Compagnie、略称VOC)。伊万里の港から出た有田焼は、長崎出島に集められ西欧に輸出。伊万里港から出される焼き物と言うことで、西欧では「伊万里」と呼ばれるようになった。
・日本から輸出される伊万里焼は、オーストリー(ハップスブルク家)、ドイツ、英国などの貴族に熱狂的に愛された。その中でもドイツのザクセン候は熱狂的ファンで、磁器工房マイセンに伊万里焼を模して磁器を作らせた。これに成功したマイセンはやがて西欧トップクラスの会社になって行くが、そもそもの模倣の対象は伊万里(有田焼)であった。
上記の話しは焼き物ファンにはおなじみの話しのようですが、今回有田を訪ねて初めて知ることができました。特に、朝鮮陶工の李参平が有田焼のルーツであること、逆にマイセンのルーツが有田焼であったこと。これらの事実は新鮮な驚きでした。奥が深いな、有田焼!
上有田の街道沿い風景①
上有田の街道沿い風景②
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