2012年1月29日(日)

地方での貴重なお小遣い

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 お婆ちゃんが料亭で使うもみじ等の葉物を集め、都会に出荷する。自然しかない山村で、お婆ちゃんたちが一人年間数百万円を稼ぐ。すっかり有名になった徳島県上勝町の”株式会社いろどり(彩)”のビジネスです。いろどりの仕事が無ければ畑仕事くらいしかやることが無く、現金が手に入らなかったばあちゃん達が、今や大金を稼ぐポイントゲッターです。その財力で孫たちに車をポンと買ってあげるのだそうです。

 栃木県の茂木町の腐葉土の取り組みも高齢者を元気にしています。秋から冬場に山に落ちている広葉樹の落ち葉をおじいちゃん、お婆ちゃんが集め、茂木町の美土里(みどり)堆肥センターに持ち込みます。20kgで500円。大体1人が1日で7000円くらい稼ぐそうです。

 この落ち葉拾いはかなり重労働で、斜面の山で落ちないように必死に落ち葉を拾います。その結果落ち葉は現金を稼ぐだけでなく、高齢者の足腰を滅茶強くします。おかげで寝たきり老人は茂木町にはいなくなってしまったそうです。

 中越パルプの鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市でも、地元に貴重なお小遣いを提供しています。川内工場は小規模な製紙工場なので、少量品種を製造しています。ここが最近作っているのが、竹で作った紙です。元々は中越パルプの山が竹で荒れてしまい、困った末に竹の紙を作りました。ただ竹は針葉樹と違い中が空洞なので、かさばり手間ばかりかかります。社員が竹を集めるのでは、とても採算に合いません。http://www.chuetsu-pulp.co.jp/eco/about.html

 そこで近所の人に、各人の竹林から竹を提供してもらうことにしました。1トンで500円と言うので高くはありませんが、大体1人10トンくらい集めてくるそうです。邪魔者の竹を集めて一日5000円を稼ぐ。地元の人にとっては貴重なお小遣いです。

 今まで価値がなかった物も使い方次第で、貴重な資源になります。そして地元の人にも貴重なお小遣いを提供します。こういう話が100くらい聞けるようになると、マイナスイメージで語られがちの山村も元気になりそうな気がします。

追記1:上勝町のいろどりのビジネスは、今度「そうだ、葉っぱを売ろう!」(仮題)という映画になるそうです。番宣を見ているだけで、見る前から愚作と思ってしまう邦画界の中で、是非スマッシュヒットを目指してほしいものです。

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