2012年1月20日(金)

京都の風習、金沢の地元志向

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 京都出身の銀行員の方と話をした時に、京都人同士の付き合いの難解さを教えてもらいました。自宅に招かれて遊びに行った帰りがけ、家人から「寿司取りましたからちょっと待ってて下さい。」と言われるそうです。寿司なんか取っていないのに儀礼的に言う言葉で「いや、結構です。次の用事もありますので。」とか言って断るのも礼儀。「でも本当に寿司頼んでしまったので。」とか家人ももう一度しつこく返して来るのだそうです。絶対に寿司は頼んでいないので、なんだかんだ理屈を付けてようやく帰っていくとのこと。

 ところが毎回毎回帰ってしまうのは、今度は失礼になってしまうそうです。4回に1回くらいは、寿司を取ってもらうまで帰らないで待っている。そうすると中々寿司を頼まない家人も、ようやく寿司を頼んで出前が届く。但し御馳走になるのは、1貫だけ。他は手を付けずに失礼しますと帰って行くのだそうです。京都の人は家族だけで店屋物を頼んで食べるのをご近所さんに恥ずかしいという意識を持っており、滅多に店屋物を頼むことは無い。従って客に食べさせると言うレトリックで、家人が店屋物を頼むストーリーだそうです。これを理解しないで、寿司を全部食べたら風習を理解しない無粋な奴になってしまうとのこと。

 東京出身の京都赴任の経験のある別の銀行員の方も、何度断っても「食事を食べて行きなさい」と言われ、あんまり断ると失礼だと思い待っていたが、とうとう食事は出てこなかったと聞いたことがあります。これは初心者編で、上級者京都人同士は“4回に一度は寿司を頼ませて、1貫だけ食べて帰る”が正解だったのです。しかし、なんだかとっても面倒くさい京都人。本音でしゃべる大阪人とは仲良くできないはずです。

 ところ変わって北陸の小京都・金沢編。前の会社の後輩が某有名ホテルの総支配人をしています。彼と久しぶりに会った折、金沢の人とコミュニケーションするのも結構大変だと言うことを聞きました。彼が赴任して間もなく、色々な改善案を話し合う会議で、地元出身者はほとんど何も意見を出してこない。何度かそういうことがあって、社員の方と親しくなってから本音を聞くと、金沢の人は自分の思っていることをあまり表に出すなと子供のころから育てられている。だから人前で自分の意見を伝えないと言われたそうです。

 大学を出て就職する時も、親は「金沢ほど良い街はないから余所に行って就職することは無い。」と子供達を説得するとのこと。ドイツに行けば仕事はたくさんあるのに、地元を絶対に離れたがらないギリシア、イタリアと同じ構図です。

 聞きかじりの情報2件で信憑性に疑義ありなので、もう少し地元出身者の意見を裏取りしてみます。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑