2012年2月21日(火)

ビル型野菜工場プラントの見学

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 新横浜本社の神奈川県中堅ゼネコンの奈良建設さんに伺った際、1階に野菜工場案内と看板がありました。商談が終わって帰り際に、野菜工場を見たいと申し出ると、ご担当の㈱アグリ王の方が案内してくれました。

 ㈱アグリ王は、奈良建設子会社と㈱キーストーンテクノロジーの共同出資で作った会社。キーストーン社は、横浜に本社を置く技術開発型企業で、植物の生育促進に適したRGB独立制御型のLED照明器を開発しています(神奈川工業技術開発大賞受賞)。

 展示してあったLED栽培ユニット「アグリ王」は、室内の一角に置くタイプでLEDを光源として水耕栽培で植物を育てます。土壌も太陽光も必要はありません。省スペース(幅2m×奥行80cm×高さ2.4m)で野菜を育てることができます。もう少し小型化(幅1.2m×奥行80cm×高さ1.95m)したタイプは、レストランの店内に置いて、取れたての新鮮な野菜をそのまま食材として提供できます。キャッチフレーズは「店産店消」。完全無農薬で安心・安全な栄養価の高い野菜を季節に関係なく安定的に提供できる。東日本大震災後はかなり注目を浴びているそうです。

 土では無く水耕栽培ですが、「ハイポニカ栽培」と呼んでいました。植物が必要とする成分をバランスよく含んだ液肥入り養液に、多くの空気を混入して根域に流す。植物の根に最適な環境を与える。植物は土中にある以上に縦横無尽に根を伸ばし、養分、水分、空気を吸収し、植物の育成を促す、と言う説明です。

 生育スピードが土耕栽培の1.5倍から2倍。病気に強く、農薬を使わなくても野菜が健康に成長。生育が早く収量アップが可能。甘くてビタミン豊富な野菜ができる。土作りが不要なので、未経験者でも簡単に栽培が可能。展示で育てられていた野菜は、レタス類、スイスチャード、バジル、セロリ、ビート、ルッコラ、ミントなど。色々な野菜を同時に育てることができます(以上パンフレットの説明)。

 アグリ王の設備4台分で300坪の畑で取れる量と同等の収穫できるそうです。大体3週間くらいで野菜が育つので、年間15毛作から20毛作が可能となるからです。野菜が良く育つには、赤い光源のLEDが野菜を丈夫に育てるキーポイントとなっています。LED自体は白熱灯よりも熱は出しませんが、設備全体でLEDのは熱を出るので、水冷で冷やす仕組みを取り入れています。通常は16時間照射して8時間野菜を休ませるようにしているとのことです。

 問題は設備の投資費用です。アグリ王で1台230万円(小売希望価格)します。これだといくら沢山野菜が取れても、ペイするには厳しそうです。根拠の無い感覚ですが100万円以下、できれば50万円くらいになれば、空いたビルで野菜を作ろうかと言う人も出てくると思います。

 ただ、趣味の世界では分譲マンションで共用施設として設置することは考えられます。例えば8人で持ち合えば、一人30万円の負担。これで毎月新鮮な葉物が楽しめるのであればハマってしまう人も結構いるはず。今後、共用施設としてアグリ王を完備した分譲マンションも出てくるかも知れません。

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