2012年2月17日(金)

秘かにブームの糀 その1

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 最近見たテレビで相次いで取り上げられているのが“糀(こうじ)”。塩糀(しおこうじ)にして旨味調味料として使う料理法、甘味・旨味が強いのを利用して作る低カロリーのスウィーツ、酒粕の成分を利用する肌の手入れ、体も心も温まる糀の甘酒。日本古来の伝統食文化である糀が、多くの人の心を捉えていると言うのです。

 最初に見た番組が、1月21日土曜日9時放映の食彩の王国(薬師丸寛子ナレーション)で、下記のように紹介されていました。

・日本古来の味噌、醤油造りに欠かせない糀。日本酒も蒸したお米を糀で発酵させる。酢や味醂も糀が無ければ作ることができない。

・番組では秋田県の糀屋さんが紹介される。糀を作るのに一番大変なのは湿度と温度管理。糀の作り方は、まず丁寧に洗った米を一晩寝かす。米は炊くのではなく、一時間程度蒸す。これにカビの仲間である糀菌をまぶして良く混ぜる。高湿度に保ちながら、気温も発酵しやすい一定温度をキープする。このようにして一晩寝かせることで、米のまわりに真っ白な糀菌がふわふわと繁殖している。この状態を“花が咲く”と言う表現をする(正に“米”偏に“花”と書いて糀)。温度が低いと糀菌が育たず、糀の花が咲かない。この状態を“風邪を引く”と言う。

・一定の温度、一定の高湿度を保つことで糀の美しい白い花が咲く。糀には100種類以上の酵素が入っている。日本における糀の利用は古く、奈良時代の文献に糀を使ったと思われる表現が使われている。

 秋田県の糀屋さんなので、糀を使った秋田の伝統的漬物が紹介されました。一つが「なた漬け」で、もう一つが「いぶりがっこ」です。なた漬けは、大根をなたで細かく切り、糀の甘酒をまぶして作る漬物です。関東のべったら漬けほど甘くないさっぱりした味わいです。いぶりがっこは、大根を楢の木を炊いた煙でいぶし、1週間かけて大根の燻製を作る。これに、塩、ざらめに糀を入れて発酵させた漬物です(有楽町交通会館1階の秋田県物産館で買えます)。

 さらに「糀+塩」による塩糀が万能調味料になると説明していました。糀が食材の旨味を引き出す。魚の糀漬けも、肉の糀漬けも滅茶苦茶美味しくなる。豆腐に塩糀を使えば、滑らかなチーズの触感になると言うのです。

 糀を使った代表的飲料が、日本酒です。ただ日本酒の作り方は、蒸した米に糀菌を混ぜた後、高湿度ではなく乾燥させた室(むろ)でゆっくりと発酵させます。糀屋さんの糀は花を咲かせますが、酒蔵では糀の花を咲かせません。酒蔵は固い糀を作り、潰すとザラザラした状態で仕上げます。乾燥した糀を作ることで、旨味をカプセルに閉じ込め、水に浸した醪(もろみ)の中で糀が奮闘し、米を酒と言う液体に変えていくのだそうです。

 酒蔵の杜氏さんが、酒粕を使った料理を紹介していました。酒粕+味噌で鶏肉に付けて焼く。これだけで鶏肉の旨さを十分引き出す。もう一つが、酒粕を付けたチーズに衣を付けて揚げる。こうした杜氏考案の酒粕料理を食べながら、酒蔵で取れたての日本酒(無濾過の原酒、火を通す前の生酒)を呑めたら最高幸せな気分になれます。

追記)日経新聞土曜日のNIKKEIプラス1で、鍋つゆランキングが出ていました。その第1位は「酒粕しょうが鍋つゆ」でした。製造元は食品メーカーではなく、なんと菊正宗酒造です。鶏出汁のベースに、酒粕としょうがを加えた鍋つゆ。こんなところでも酒糀菌は頑張っています。

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