2012年10月15日(月)
バブル時代のディスコティックと有名経営者
芝浦のヤナセ本社あたりを通り過ぎると、あの伝説のディスコがこの辺りにあったのだと想い出します。そう、ボディコン・ワンレン・ミニのお嬢さんが扇子をかざしながらお立ち台に上がった「ジュリアナ東京」です。
当時日商岩井(現、双日)の社員だった折口雅博氏が、英国の会社とJVで1991年5月にジュリアナを立ち上げ大成功。バブル景気は既に前年崩壊していましたが、バブル後の余韻が漂う中、連日連夜大盛況でした。今考えれば寂れた湾岸沿いの場所で、よくも巨大なディスコを成功させたと感心します(ジュリアナは、3年後の1994年8月に閉店)。
その後折口氏は日商岩井を退社し、エイベックス・トラックスの資金の元、六本木に“ヴェルファーレ”を立ち上げます。1500人を収容できたヴェルファーレも有名ディスコ・クラブになりますが、折口氏は共同経営者との揉め事もありヴェルファーレの経営を離れます。
ヴェルファーレは六本木7丁目14番に造られ、1994年12月にオープン。土地は定期借地権で借り上げ、建物の当初の所有者は小室哲也とエイベックス社でした。途中から小室哲也の権利はエイベックス社が買い取り、2006年12月まで営業を続けていました。
2006年当時はファンドバブルで東京都心の不動産取引は大盛り上がり状態。防衛省跡地の再開発“東京ミッドタウン”の2007年1月開業を控え、従来の妖しい繁華街から、商業・業務ゾーンに変化しつつある六本木の土地は無理してでも買えという状況です。
ヴェルファーレの土地の入札で勝ったのはドイツ証券のSPCと聞いています。約300坪の土地が120億円、4000万円/坪くらいだったと噂されました。2009年6月、跡地に“セントラム六本木ビル”が完成。2011年7月にエイベックスと資本関係にあるドワンゴとその子会社のニワンゴが、ビルの地下部分にニコニコ動画ユーザー向けのイベント施設「ニコファーレ」を開設しました。
折口氏はヴェルファーレを辞めた1996年に、青息吐息だったグッドウィルに移籍して経営権を掌握。フリーター派遣事業で一気に業容を拡大して大成功し、若くして経団連の理事にもなりました(2007年6月退任)。大企業が望んでいた派遣法改正で一定の役割を果たしたことが、財界首脳に評価されたからだとも言われています。
1997年にコムソンを買収し、介護保険導入により将来性のあると言われた介護事業にも参入。これも上手く行きかけたに見えましたが、不正請求や人員不足によるサービス劣化などが原因で経営悪化、2007年に事業譲渡して経営を離れました。グッドウィルも問題続きで折口氏は退任し、折口氏個人も2009年9月に自己破産しました。
バブル後のジュリアナ東京、ヴェルファーレの前に、バブル絶頂時代に有名だったディスコが六本木にありました。痛ましい事故で幕を閉じてしまった「トゥーリア」です。バブル景気初期の1987年5月に高級ディスコ店として開業。場所は六本木7丁目13番7号。外苑東通り沿いの当時の防衛庁、今のミッドタウンの向かい辺りです。1988年1月に天井から巨大シャンデリアが落下し、遊びに来ていたお客さん3人が死亡、負傷者14人と言う事故を起こし閉店してしまいました。トゥーリアを経営していたのは、不動産会社の丸晶興産で、丸晶の赤城明社長は書類送検されました。
不動産売買で巨額の利益を上げていた丸晶興産は、ディスコ経営以外にも、レーシングチームを持ったり、アパレル店「レイトンハウス」の経営もしていました。ライトブルーのコーポレートカラーを基調にし、ヘリコプターも新木場においていました。
バブルが弾けてバブル時代の事件が次々の明るみに出ていた1991年8月に、再び丸晶興産赤城明社長の名前が登場します。富士銀行赤坂支店の預金通帳偽造事件です。富士銀行赤坂支店の行員が1987年からコンピュータに架空預金額を打ち込んで預金証書を作り、このあと入金ミスとしてこの記録を抹消。預金証書は廃棄せず、偽造の質権設定承諾書と共にノンバンクに持ち込み、融資を引き出します。この事件でも丸晶興産赤城社長は詐欺に関わったとして実刑判決を受け、表舞台から消えて行きます。
すっかり大企業が本社を構える街に変わってしまった六本木ですが、昔のバブル時代を掘り起こすと色々な出来事が想い出されます。
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