2012年12月1日(土)

都心部で増加するコンスパ(コンビニエンス・スーパー)

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

今を去ること10年前の2004年、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)の大口融資先である企業群の不良債権をどうにかしなければならない。そういう中で、ダイエーの再建計画が産業再生機構に委ねられ、ダイエー再生計画が企てられました。産業再生機構が再生を任される前に、既にイオングループがダイエーのスポンサーになると手を挙げていたので、そのままイオンに任せればよかったのですが。何とか大企業の再建実績を残したかった産業再生機構は無理やり花嫁(ダイエー)を奪い、再生機構主導のもと、外資系を含めた投資ファンドにダイエー売却の入札を行いました。私もそのダイエー入札の時に、某ファンドの不動産評価担当として参加しました。

この時に産業再生機構のダイエー担当者が打ち出したダイエー再建案の一つが、コンビニエンス・スーパー、略して“コンスパ”の展開でした。従来のように大型スーパーではなく、都心型の小規模店舗、24時間営業、食品・生活雑貨に特化という正にコンビニのスーパー版がそのコンセプトでした。

機構側の資料で、真面目に“コンスパ”と言う造語を見た時は、マジなネーミングかと少々驚きましたが、その後話題に上ることもなく消えて行きました。しかし、現在スーパー各社が打ち出している方針は、正にコンスパそのもの。街中でも結構小規模、24時間食品スーパーが目に付くようになりました。

現在都内で展開している各スーパーのコンスパと思われる店舗は、下記のようなものがあります。

・イオングループの「マイバスケット」

・マルエツの「マルエツプチ」

・ダイエーの「グルメシティ」

・いなげやの「エスビイ」

・ユニーの「ミニ・ピアゴ」

イオンはグループ全体の基本方針として、「アジアシフト」、「シニアシフト」、「都市シフト」中期計画に明記しています。その中の都市シフトは、従来の食品スーパーは、売場面積1000㎡前後、商圏600m~700mであった。これを今後は、売場面積150㎡~500㎡、商圏300m圏内を目指して、マイバスケットを展開する。2011年度80店出店し、2012年度は160店を出す。2013年度末には全600店体制を目指すそと、ぶち上げています。

コンビニ並みの広さで、生鮮、惣菜などの食品中心に扱うイオンのマイバスケット。神田界隈や市ヶ谷駅周辺でも、最近マイバスケット、マルエツプチの小型店舗を見つけました。スーパーとは思えない狭いお店です。内装もさほど金を掛けていません。結局昔からあった地元小資本のミニスーパーと同じようなお店で、営業時間だけ24時間営業を行っているような感じです。

新しい店は出せないと思われていたダイエーも、足立区千住曙町(京成関屋駅近く)にグルメシティを2012年にオープンさせました。長く駐車場だった200坪くらいの敷地に、食料品専門のグルメシティを建設(おそらく定借か、建設協力金方式での出店)。1階が駐車場・駐輪場、2階が生鮮、惣菜コーナー、3階が乾物、お菓子、酒等の日持ちのする食品売り場。新しい洗練された売り場なので、見学しに行った土曜日夕方は買い物客で賑わっていました。

このグルメシティ千住曙町店の開業のあおりで閑古鳥が鳴いているのが、直ぐ近所のコンビニ店のファミリーマートとセブンイレブンです。この地域は長く買い物不便地区だったので、食品関係の買い物はファミリーが一人勝ちの状態でした。その繁盛ぶりを見て近所に出店してきたのがセブンイレブン。ところが今回のグルメシティの出店で、両店とも普通のコンビニになり下がってしまったようです。

当分はこの都心型スーパー(コンスパ?)が、まだまだ増えていくでしょう。空いた店舗があったら、まずはスーパー各社にコンスパ用として紹介してみようと思っています。

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