2013年5月4日(土)

上野のとんかつ屋「双葉」のその後

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

「騒がしいお子様は御遠慮下さい」このような張り紙を堂々と出していたお店があります。上野2丁目8番、広小路(中央通り)から30mくらい入った角地の「双葉」。木造2階の風情のあるトンカツ有名店です。きっと下町の元気な(滅茶うるさい)子供たちに辟易とした店主が、大人に迷惑を掛けちゃいけないと思って書いた注意書きなんでしょう。

今日はトンカツでも食べるかと家族連れで上野に行き、双葉の前を通っては「いいか、双葉は子供が嫌いだからな。子供連れでは入っちゃいけないんだぞ。」こう子供に嫌味を聞かせ、近所のトンカツ店「井泉(いせん)本店」に行くのが常でした。

しかし、こんなあからさまに将来のお客さんになる子供を敵対視して良いのか?この張り紙を見た子供達は、大きくなってもここで食べたいと思わないだろうし、親だって子供がいないときに入る気はなくなるし。有名店でもこりゃいずれ駄目になるな、と長く思っていました。

先日、上野広小路を歩いていた時、何気に双葉の方に目が行きました。「あれ?どうしたんだろう?双葉がない!」気になってお店の前まで辿り着くと、そこにある看板は居酒屋店の「三百杯」。全く文化の香りもしない安酒場に変わっていました。

何でトンカツ店双葉が閉店してしまったか定かではありませんが(ネットの書き込みだと店主の急病)、長年のあの張り紙がお店の売上に大きく影響したのは間違いないと思っています。余計なお世話の勝手な想像ですが。

追記1)井泉本店の味噌汁を飲むとなぜか懐かしい感じになります。トン汁風ですが、1cm厚くらいの長葱がごろっと入っています。この長葱が浮かんでいる味噌汁を見ると、ああ井泉に来たなと感じます。

追記2)この界隈のお土産は、うさぎや(上野1丁目10番)のどら焼きか、花月(湯島3丁目39番)のかりんとうです。花月は店先が狭く、店の奥の6畳くらいの狭い和室で、職人さん4、5人で狭苦しそうにかりんとうの箱詰めをしています。でも、何故かこの狭さの中で待っているのが嬉しくなります。

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