2014年9月20日(土)
自滅する中国 エドワード・ルトワック氏の寄稿文
平成26年6月16日の日経朝刊に、米国戦略国際問題研究所上級顧問のエドワード・ルトワック氏が書いた寄稿文が載っていました。”中国の一連の他国に対する振る舞いが自ら墓穴を掘っている” と言う内容です。その内容を抜粋してみました。
・中国は日本に強弁に振る舞っているが、それによってかえって日本を助けている。集団的自衛権行使容認についても、中国の強気な行動のおかげで実現しやすくなった。
・南シナ海で強硬な態度を取ったことから、ベトナムを一層米国側に押しやっている。中立的だったインドネシアも中国に懸念を深め、マレーシアも中国の挑発に目を覚ましオーストラリアとの安全保障協力を強めようとしている。つまり、中国は自分で対中包囲網を作り出してしまっている。
・日本が取るべき対策とは、中国への懸念を抱いている国々と連携し、穏やかで非公式な連合を築くことだ。
・中国から見て最良の戦略は「平和台頭路線」を掲げて各国を安心させ、対中包囲網を崩すことだ。それができないなら、日本以外のアジア諸国、米国に笑顔で接し日本だけを孤立させること。しかし、強い発言力を持つ中国陸軍が日本だけでなくインドも脅威とみなしているため、中国指導部はこの戦略を取ることはできない。
・ウクライナ危機を受け、中国とロシアが接近するという見方がある。だがそうなるとは思わない。中露は恋愛ごっこに嵩じることはあっても、決して結婚することはない。ロシアはシベリアに侵食してくる中国への警戒を強めている。中露になんらかの衝突が生じれば、ロシアは米国や日本と組むに違いない。
・日本がシベリアに投資し、その経済発展を支援することは、日本、ロシア、米国の国益にもかなう。シベリアが中国の経済圏になることは、日露だけでなく、米国も望んでいないからだ。
日経新聞編集委員は、なぜかような下手な外圧を展開しているかを「なぜ、そうなるのか。答えは中国内にある。格差の広がり、少数民族問題、環境汚染、権力闘争。指導部は広がる内患に忙殺されて、冷静、寛容に、他国に接することが難しくなっているのだろう。中国のもろさがリスクを増幅している。」と締めくくっています。
なるほど。ここ30年で猛烈な経済発展をし、優れた戦略があると思われていた中国が、実はそんなに大した合理的戦略を取っていないと言う話です。日本のマスコミは、中国共産党が決めた内容を「確信的利益」に基づくことだから、長期的期間をもって達成する。尖閣諸島に関しても、確信的利益に基づき、いずれ奪ってくると書いています。しかし他国の土地を自分が欲しいから奪ってしまうというのは、あまりにも無理筋の話です。
ベトナム海域で揉めると分かっていながら石油の試掘を始めたのも、中央政府の意向ではなく、中国石油閥及びそこに連なる軍部の暴走と言う記事もありました。
こういう状況下で、安倍首相が東南アジア、インドを積極的に訪れ、インドのモディ首相も外遊の一番目として日本を選んでくれた。先日も安倍首相がスリランカを訪問し、各国との親交を深めています。少なくともルトワック氏の戦略を日本は忠実に実行しています。
フィリピンから一度は軍隊を引き揚げた米国も、再度フィリピンに軍を常駐させる方向で検討しています。今までは中国がどこまで経済成長して巨大になるか息を呑んで見ていたのが、その勢いが止まり経済成長も終息に近づいています。その時は本当は中国が嫌いな国が、落ち目の国に本音をぶつけられるのでしょう。
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