2015年2月25日(水)

小田原城復元の動き

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 平成27年2月25日の日経新聞に「小田原城復元」の記事が出ていました。箱根への観光入口であるにもかかわらず、ほとんどの観光客が素通りしてしまう。外国人観光客もコンクリート製の城を見ても誰も喜ばない。この状況を打開するために、木造で復元しようと言うのです。

 確かに江戸現存12天守は、歴史を感じて感動します。大阪城や名古屋城がどんなに立派でも、コンクリート製では興味半減です。最近、熊本城や名古屋城で行われている本丸御殿の復元は、木造建築での復元と言う事で有難みがあります。

 小田原城は、戦国大名だった北条氏に築かれました。秀吉の小田原城攻めで降伏し、城を明け渡しました。江戸時代は、徳川家の譜代大名が統治しています。お城の周りのほとんどを総石垣造りの城で、土塁のみの簡単な城が多い関東地方では特殊な部類となっています。

 明治以降の歴史は、明治になって城内の建造物は取り壊され、大正12年の関東大震災で石垣も大きく崩れた。昭和35年に天守が鉄筋コンクリート造で外観復元されています。築後55年経って、老朽化も進んできたことからどうしようかというのが今の状況です。木造の本格的復元を行おうと言う計画もあるので、今回は本格的改修工事ではなく9億円ぐらいの改修で納めようというのです。

 木造で復元した天守閣はどこがあるか調べたところ、掛川城と大洲城がありました。また、本丸御殿では熊本城、名古屋城が有名です。

①大洲城  平成10年から3年間で実施設計、工事を行う。総工費は13億円。延床面積140坪。使用した木材450立米(一般的木造住宅の20棟分)。施工はハザマ。

②掛川城  1998年の掛川市教育委員会の資料によると、総工費10.8億円。これに学術調査、設計料で7000万円以上。周辺整備費用も併せると22億円以上。建設期間は全体では6年間、天守閣では4年間。

③熊本城  建築面積は2161㎡。建築費41.8億円。発掘調査・設計を含めると54億円。平成20年4月から公開されている。

④名古屋城  本丸御殿の総工費は150億円。

 城の大小があるのでしょうけど、結構復元費用でばらつきがあります。今治城を見に行った時に、案内の方が掛川城は上手に復元したと褒めていました。20億円くらいならかなり現実的は金額です。

 熊本城は、西南の役で消失し、天守閣はコンクリートで再建されました。しかし宇土櫓は燃えずに、江戸時代からの姿を保っています。ここに、絢爛豪華な本丸御殿が復元されたので、大勢の観光客を呼び寄せ大成功しています。

 ネットで小田原城の再現を調べてみると、「NPO法人 みんなでお城を作る会 小田原城天守木造化」というのが出てきました。しかしどれくらいの規模で、どれくらいの費用が掛かるかは全く書かれていません。まだまだ構想段階なのでしょうけど、もう少し具体的に計画を語った方が実現に向けて進みそうです。

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