2015年5月17日(日)
新島の金目鯛を調布に運ぶ
平成27年5月16日放送の「食彩の王国」で新島の金目鯛が取り上げられていました。熱海、伊豆辺りの旅館に行くと金目鯛の煮付けが良く出てきますが、以前は旨いと思ったことは全くありませんでした。ばさばさした感じの食感で、旅館定番のやっつけ仕事の煮物という印象でした。
それが下田の人気旅館で食べた金目鯛の刺身や、銚子の日本料理店「かみち」で食べた金目鯛煮付けを食べてから「新鮮な状態で上手に煮付けられた金目鯛は、脂がのってとろりとしてこんなに美味しいものだったのか!」と知ることができました。
テレビの情報をまとめると下記内容です。
①沖キンメと地キンメ
新島から神津島あたりの伊豆諸島近郊が金目鯛の漁場で脂の載った美味しい金目鯛が取れる。これを地元では地キンメと呼ぶ。遠く船を出して取ってくるキンメは沖キンメと呼ばれる。こちらは鮮度も悪くなり、脂の載りも悪いので地キンメの方が商品価値は断然上。
②金目鯛は深海魚
金目鯛は普段は水深300mくらいに棲む深海魚。早朝に餌を求めて海上に上がってくるところを漁師が釣り上げる。釣り方は竿の一本釣りで丁寧に釣り上げ、一匹づつ血抜きをする。以前は漁師が協力し合いながら釣り上げるムロ鯵の漁が盛んだったが、漁師の数も減り一人で漁ができる金目鯛漁が多くなった。
③金目鯛の調理法
夏の産卵前の金目鯛が最も脂がのって美味しい状態になる。元々少し臭みのある魚なので、調理前に塩をまぶして臭みを抜く(サバの調理法も同じ)。煮付けの場合には水を使わないで日本酒で煮る(臭みが出ない)。高い日本酒を使う必要はなく、安い日本酒で良い。金目鯛切り身、日本酒、砂糖を入れて煮立ってから醤油を入れて、10分間強火で煮てとろっとするまで一気に煮詰める。
④地元の料理法
金目鯛刺身を砂糖を入れた醤油に10分漬け、これを酢飯に乗せた島寿司。昔は高価だったワサビに代わりからしを載せている。金目鯛をブロック状に切り、串に長葱と交互に刺して焼き鳥風にした「金目鯛ねぎま焼き」。
目が赤くぎょろっと言う感じになっているのは、深海魚だったからなんですね。新鮮な状態で食べると美味しい金目鯛も、新島と言う位置的条件で東京築地に運ばれるまで今まで2日間掛かっていて、それが地元漁師の負い目になっていたと紹介されていました。
いかに早く東京に新鮮な金目鯛を運べるか。これを実践しているのが大手旅行代理店を定年退職した丸田孝明さん。丸田さんが目を付けたのが、新島と東京の調布飛行場間を飛んでいる定期便の飛行機です。午前9時40分新島発の便に乗せると、僅か40分で調布に届けることができます。
丸田さんが新島の魚市場で金目鯛を買い付けますが、携帯電話に個人の料理店から2匹、3匹の少量の注文が来ます。その少量注文を集めてまとめて買付け、注文が入った本数だけ貨物として運びます。丸田さんも一緒に飛行機で調布まで来て、調布からは車で注文先に魚を届ける仕組みです。これなら早朝に新島魚市場に上がった新鮮な金目鯛が、お昼には料理店に届けられる仕組みです。この仕組みで、刺身、煮付け、ポワレが食べられれば、東京人も幸せな気分になれます。
丸田さんのようにそんなに大きく稼がなくても良いやと思えば、少し手間は掛かりますが、こういう方法で離島の地域貢献ができる道があります。
追記 最近新鮮な魚を高度な冷蔵状態(マイナス1度で凍らせない)で運ぶ氷の製造会社、マーズカンパニーが脚光を浴びています。新島の金目鯛が今後大量に築地に運ばれるには、マーズ社の魔法の氷「シースノー」が利用されて行くのだと思います。下記は、ダイエーのHPに出ていた内容です。
“ダイエーは、株式会社MARS Company(群馬県高崎市:代表取締役社長 松井寿秀 以下「マーズカンパニー」)が開発した生鮮品の新たなコールドチェーンシステム『蔵番熟鮮市場』を導入し、世界最先端の製氷技術『sea snow』および高鮮度保持冷蔵装置『Kuraban(蔵番)』を使用して輸送した、高鮮度の魚の実験販売を開始いたしますので、お知らせいたします。
ダイエーはマーズカンパニーと協働し、スーパー業界で初めて、同社の各種技術を導入することで、鮮度劣化が早いため北海道以外では殆ど流通しない鮮魚を提供します。例えば、刺身用の「生にしん」や「生ほっけ」など、今までの流通システムでは運べなかった“旬”の鮮度抜群な鮮魚を提供することが可能となります。“
最新記事
- 地方都市の中古戸建てをリノベして販売するカチタス (5/8)
- 日本の貧困家庭の子供比率 (9/18)
- 韓国の人口動態 2017出生率は1.07予想 (9/17)
- 長野県阿智村の「満蒙開拓平和記念館」 (7/18)
- 旧東ドイツのライプツィヒの再生に学ぶ (7/12)
- 李氏朝鮮時代の韓国では僧侶の身分が下層階級 (7/10)
- 第一勧業信用組合の素晴らしい金融戦略 (7/1)
- 中国経済2017 大衆資本家たちのイノベーション (6/25)
- 小型木質バイオマス発電 VOLTER40 (6/20)
- 中国人だらけの大宰府 (6/19)
不動産業界コラム
過去の記事
- 2018年5月
- 2017年9月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年1月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年5月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年4月
- 2010年3月