2015年6月25日(木)

アジア人で溢れる大阪ミナミの繁華街

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

6月中旬に久しぶりに大阪に仕事で行き、その合間に気になっていたスポットを観察してきました。

最初に行ったのは大阪の台所「黒門市場」です。雑誌ウェッジの2015年4月号に”外国人観光客が殺到! 大阪ミナミの台所「黒門市場」” と言う記事が出ていたので、その現状を見たいと思っていました。20年くらい前に見た黒門市場は地元の人が買いに来る庶民的市場で、お店の数は多いものの人もまばらな衰退中の商店街という感じ。これがどう変わったのか。

 大阪市営地下鉄・堺筋線「日本橋(にっぽんばし)」駅の改札を出ると、地下鉄構内に大きな英語表記の黒門市場の案内看板が目に入ります。地上に出て千日前通りを東へ50mも行くと、黒門市場の入口があります。入口を入ってそこで見たものは!

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地下鉄構内の黒門市場の看板

 金曜日3時頃の本来は暇な時間帯ですが、そこには、人、人、人で溢れていました。週末の上野のアメ横くらいの混雑振り。8割以上が中国人、台湾人と思しき観光客です。英語を流暢に話しているのは香港人でしょうか。中国人でも50歳以上の中高年は相変わらずそうぞうしいですが、若い世代は総じてきちんとしています。これらアジア人観光客に混じって日本人の若い観光客もいます。従来の主要顧客大阪のおばちゃんは、ほぼ見かけません。

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午後三時の黒門市場風景

 混雑する商店街を進んでいくと、簡単なカウンターで寿司を食べさせている店、天ぷらを揚げてその場で食べさせる店、ホタテ・牡蠣などを炭焼きで売る店、カットフルーツを食べさせる店が目に入ります。その他、たこ焼き、焼鳥、串揚げ、さつま揚げ、魚の串焼き等々が売られており、どこもアジア人観光客が並んでいます。商店街全体が巨大なフードコート、食べ歩きのワンダーランドとなっています。皆さん楽しそうに食べているので、こちらまで嬉しくなってしまいます。

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商店街の屋台の風景

 観光客が休めるように無料の休憩所が用意され、ここには「エクスプローラー」と名付けられた無料の観光客用のパンフレット(英語表記、中国語表記)が置いてあります。

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無料休憩所

 ウェッジに書かれていた記事は概ね下記内容でした。

・黒門市場を活性化させようと商店街の有志が作ったのが商店街を紹介するパンフレットの「エクスプローラー」。3年前くらいから増え始めていた外国人観光客を呼び込もうと作成した。外国人観光客が多く宿泊するホテルロビーに置かせてもらった。

・当初はそんな外国人が大勢来るようになったら必ず問題が起こる。元々のお客さんである日本人にも迷惑が掛かると言う反対の声も多かった。

・パンフレットを置かせてもらうなどの努力が実り徐々に外国人観光客が増え始めると、そこは商売熱心な大阪人。来てもらうお客さんに如何に喜んでもらうか、如何に商品を買ってもらうか考え始め、「立ち食い」ができるように色々な食べ物を売り始めた。他の店が流行りはじめると、それに負けじと次々と観光客が喜びそうなものを売りはじめた。

・大阪に観光で来た外国人も、手軽な料金で美味しいジャパニーズフードが堪能できると黒門市場をSNSで紹介。それが呼び水となって次から次と観光客が増え始めた。パンフレットのエクスプローラーも何度か改訂され洗練されていった。

・大阪に宿泊するアジア人観光客はホテルで朝食を取らない人も多い。朝食は黒門市場に来て食べることが旅行の楽しみになっている。

 正に雑誌に書かれていた通りの現実がここで起こっていました。夜は取引先との会食が終わった9時ごろ、ぶらっと心斎橋商店街、道頓堀を散策してみました。するとここにも驚きの光景が!

 夜の9時過ぎだと言うのに、心斎橋商店街は人で溢れています。ほぼ半分くらいがアジア人観光客で、買い物をするというよりは街歩きを楽しんでいる感じ。ドラッグストアの数が以前より増えており、ここだけは混雑していました。戎橋(えびすばし、道頓堀の上に掛かる橋)では、グリコのおっさんをバックに大勢の人が写真撮影をしています。

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夜9時頃の心斎橋の風景

以前は閑散としていた道頓堀商店街もアジア人で埋め尽くされています。ドラムを叩く縞縞模様の食い倒れのおっさんも撮影スポットとして大混雑です。車が通行禁止の道頓堀商店街にはベンチが沢山用意されていますが、どこもたこ焼きを買って食べる観光客で一杯です。以前ネットで見た記事には、中国人はソース味よりも醤油味を好むと書いてありましたが、覗いてみる限り皆ソースにマヨネーズが掛かったたこ焼きをバクバク食べています。すっかり大阪人の味覚に馴染んでしまったのでしょうか。

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夜9時半頃の道頓堀商店街の風景

たこ焼き屋の隣で観光客の呼び込みをしているお嬢さんに、「凄いですね。いつから道頓堀はこんな風になってしまったんですか?」と聞くと、「1年前くらいからです。本当、急にですよ。」と答えてくれました。

関西国際空港に多く就航するLCC。このLCCが運んでくる海外のお客さんがこの大阪の大フィーバーを作ったと言えるでしょう。関空に入る観光客は、2泊3日で関西だけを楽しんで旅行する人たちが多いそうです。この観光客が大阪のホテル稼働率を急激に上げたのでしょう。

ユニバーサルスタジオに行って、大阪城に行って、黒門市場で食べて、夜の心斎橋・道頓堀を楽しむと言うのが定番コースなのでしょう。日中は、京都に行ったり、和歌山の温泉を楽しんだり。2泊3日で遊びに来るアジア人観光客には、大阪は東京より楽しめる場所なのかも知れません。

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