2015年6月27日(土)
京都の伏見稲荷大社は大盛況!
京都に行ったら是非見ておこうと思っていたのが京都の伏見稲荷大社です。トリップアドバイザーの外国人旅行者が選ぶ日本の観光施設の1位になったとネットの記事を見たので。何がそれほどまでに、外国人旅行者の機微に触れるのか。正直、伏見稲荷の良さを知らなかったので、今まで一度も行ったことありませんでした。京都駅の南側なら東寺(真言宗総本山)、東福寺(臨済宗五山の一つ)の方が良いと思っていたので。
京都駅からJR奈良線に乗ると、土曜日11時の段階でかなり混雑しています。4割くらいが外国人でしょうか。京都駅から二つ目の稲荷駅で降りますが、ほとんどの乗客がここで降りてしまいました。稲荷駅を降りるとすぐ目の前に伏見稲荷の大きな鳥居があります。こんなに駅から近ければ、観光客も行くのに苦となりません。
駅からすぐ出た辺りの伏見稲荷大社
伏見稲荷は全国に約3万社あるといわれる稲荷神社の総本社です。初詣では近畿地方の社寺では最多の参拝者を集めているそうです。神社関係の本「神社に秘められた日本史の謎」を読んだ時に、何故にこれほど稲荷神社が全国に広がったかが書いてありました。稲荷神社は稲の神様でありこれを信仰することで豊作に結びつく。この教えで農村社会に稲荷信仰が全国的に広まったとのこと。稲荷神社がコメの豊作につながるなんて、素晴らしいマーケティング力です。稲成りが稲荷に変化したとの説もあります。
伏見稲荷拝殿
伏見稲荷神楽殿
本殿付近には、稲をくわえたキツネさん石造が2頭配置されています。狐は穀物を食い荒らすネズミを捕食すること、狐の色や尻尾の形が実った稲穂に似ていることから、狐が稲荷神の使いとして用いられたと言われています。
稲をくわえるキツネさん
本殿で参拝した人たちはその先にどんどん進んで行きます。その流れに付いていくと、朱色の鳥居がトンネルのようにびっしり建ち並ぶ参道に入ります。そうか、ここなのか!外国人がこの朱色の鳥居がずらっと並ぶのを見て、「Cool!」だと感心するのは!それにしても圧巻です。
1本の鳥居は高さが2.5mくらいで、柱の左側に建立時期、右側に寄贈者の名前が記されています。平成18年、平成20年、平成22年。何だつい最近寄贈(奉納)された鳥居なのか、だからまだ色も新しいのか?その後も平成になってから建てられた鳥居がずらっと並んでいます。
千本鳥居の中①
千本鳥居の中②
鳥居を奉納する習わしは江戸時代に始まったとネット情報には書いてありますが、平成になってからより多くの奉納者から鳥居を建ててもらった。これが何時しか朱色の赤いトンネルに見えるくらい集積し、ここまで見事な光景になったのか。確かに昔からここまで鳥居が凄い数ならんでいれば、もっと東京でも有名でおかしくなかっただろうし。
この朱色の鳥居のトンネル、通称「千本鳥居」は延々と続きます。20分くらい歩いて中腹まで出ると、この先山頂に行くにはまだ1時間くらい掛かると案内看板に書いてありました。伏見稲荷の背後に控える稲荷山全体が境内地となっていて、ウォーキング好きの人には良いのでしょうけど、気温33度を超える状況だと上まで行く元気はありません。
上まで行くのを断念し、大人しく下へ降りていきます。その途中に鳥居の奉納に関する神社の看板が出ていました。サイズによって価格は違いますが看板の記載金額は、5号:175,000円、6号:383,000円、7号:482,000円、8号:708,000円、9号:826,000円、10号:1,302,000円です。
鳥居奉納のご案内
1本70万円平均で、1万本建てさせたとすると70億円の調達!この資金調達だけでも凄いのに、この奉納鳥居1万本が観光資源となり、国内外から大勢の観光客を伏見稲荷に呼び込んだ。初期の「稲荷神は農村の神様」というマーケティング手法と言い、奉納鳥居の資金調達・観光資源化戦略と言い、素晴らしいの一言。切れ者の宮司です。
行きはJRで来たので、帰りは京阪鉄道に乗ることにしました。京阪の駅名は「伏見稲荷」駅とあり、こちらの方が元々はメインだったのでしょう。商店が建ち並ぶ参道も伏見稲荷駅まで続いています。
その後、東福寺、泉涌寺、東寺、三十三間堂、知恩院、建仁寺と慌ただしく回りました。どれも大きな寺社で有名な寺ばかりですが、外国人観光客はほとんどいなくて伏見稲荷との活況の差に驚きます。唯一、バスで通り過ぎた清水寺界隈は外国人が大勢いました。後は、祇園の古い街並みが残る花見小路。ここもお祭りかと思えるくらい人が多く、半分以上は外国人観光客でした。
きっと外国人旅行者の間では、京都で絶対に見ておくべきもの(You can’t miss out on)は、伏見稲荷、清水寺、祇園花見小路となっているのでしょう。他の寺社があまり知られていないのは残念ですが、逆に言えば外国人が行って良かったと感動する施設は京都にはまだまだ沢山あるということでしょう。
追記1 外国人が伏見稲荷を一押しする理由としては、「駅のごく近くに赤い鳥居が続く風景が非常に日本的な上、拝観料不要で閉門時間が無い。稲荷山のお山巡りで欧米人が好むウォーキングができることも高評価の理由。」と説明されています。
追記2 伏見稲荷大社の元々のルーツは、渡来系氏族の秦氏に奉斎されたものと「神社に秘められた日本史の謎」には書かれています。NHKの歴史ヒストリアでは、秦氏の名前は出しませんでしたが、豪族が大きな餅を的に矢を放った。矢が当たった餅が大きな鳥に変化し、山の中に逃げて行った。その後を追うと、山の中にたわわに実った田んぼを見つけた。それ以来ここを田の神様がいる場所として奉ったと紹介していました。
追記3 NHKの歴史ヒストリアで、豊臣秀吉と伏見稲荷の縁を取り上げていました。誰の言うことも聞かなくなっていたころの秀吉も生母・大政所(おおまんどころ)の病気には困ってしまった。何とか母親の病気を治癒したいと伏見稲荷に懇願し、大規模な祈祷を神社で執り行ってくれた。その甲斐もあってか大政所の病は治癒した。その御礼に秀吉は本殿と高さ15mはある桜門を寄贈した、と言う話でした。
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