2015年7月15日(水)

リゾートマンション 熱海と箱根の比較

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 2週間前の土曜日に熱海に行った折、天気は悪かったのに結構観光客で混んでいました。そして気が付いたのが、駅前にやたらと不動産仲介会社が増えていたことです。元々、リゾート販売で老舗のロイヤルリゾート、東急リゾート、これに住友不動産販売くらいでした。これに、ひまわり、アップタウン、イーズ等々、新顔が多数出ています。

今年の1月に伊豆の別荘地で鑑定評価の仕事があり、熱海駅前の不動産会社にヒアリングしたところ、まともに別荘地を扱っているのはロイヤルリゾートだけで、他は全て分譲マンションしか扱っていないとのこと。そうか、管理の大変な別荘は敬遠され、利便性の高い(駅に近い)リゾートマンション花盛りなのだと知ることができました。

熱海の中古マンション市場と、箱根の中古マンション市場を見られるデータで比べて、両地域の市場が大きく差が付いてしまったのに驚きました。

1.成約件数

熱海市 1年間での成約件数242件 2年間での成約件数500件以上

箱根町 1年間での成約件数19件 2年間での成約件数40件

2.販売中の件数(不動産ジャパン)

熱海市 387件 内1000万円以上は123件

箱根町 133件 内1000万円以上は34件

3.過去1年の成約事例の価格帯

熱海市 1500万円以上83件 2000万円以上55件 2500万円以上39件

箱根町 1500万円以上2件

熱海市の主な高額取引:レアージュ熱海東山@200万円/坪台、熱海ベイフロント@180万円/坪台、レーベンリゾシア熱海シーサイドタワー@160万~200万円/坪、ゼファー熱海ビーチ@180万円/坪台、ソフィア熱海 @180万円/坪 最高は総額6000万円台

箱根町の高額取引(過去2年間):東急リゾート強羅七番館 @120万円/坪台、東急リゾート箱根仙石原@160万円/坪台、パークシーズンズ箱根強羅@160万円/坪台、最高は総額3200万円台 

 私が藤田観光でリゾートマンション販売を行っていた昭和57年~昭和60年は、箱根、熱海とも大体似たような価格帯でした(少し、熱海の方が高かったくらい)。それが30年経ってこんなに大きく差が付いてしまいました。

 推測ですが、リタイア組が温暖の地で、交通利便性の高い熱海のマンションを買っているのだと思います。駐車場の置場が無いのは困りますが、後はコンパクトにまとまっている熱海は住むには便利です。熱海駅そばでジョイントコーポレーション開発のマンション開発が会社倒産で止まっていましたが、ゴールドクレストが引き継いで工事が始まっていました。

 一方、観光には良いけど住むにはしんどい箱根は、ほとんどのマンションの相場が成り立っていません(越後湯沢ほど酷くありませんが)。リゾート目的ではなく、リタイア用の居住に需要家が変わってしまった影響が、熱海、箱根の価格に大きく影響を与えています。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑