2016年8月17日(水)

第一次世界大戦時の日本の好景気

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 大正時代の日本がどうだったかと言う本を読んでいて、第一次世界大戦(1914年から1918年)時の日本が滅茶苦茶好景気であったことを知りました。

・1914年に第一次世界大戦が始まり、当初は直ぐに終わると見られていたのが、思いがけぬ長期化。ヨーロッパの先進工業国が戦いの真っ只中にあり、戦禍から遠く離れていた日本にも軍需品を始め、鉄、銅、船、綿製品などの発注を集中的に獲得することができた。製薬会社が数多くあったのがドイツなので、薬品も日本に大量に発注が来た。

・日清戦争時には莫大な戦時補償金を清国から取ることができたが、日露戦争(1905年終了)時には補償金は取ることができなかった。1907年から日本は深刻な不況に陥っていた。これが第一次世界大戦が始まったことで空前の好景気がやってきた。1914年から1920年までの日本の貿易収支は38億円の黒字となった。この貿易で得た黒字は投資に回り、空前の株ブームとなった。

・ベンチャー企業にも金が回るようになり、松下電器やカルピスなど数多くの企業が生まれた。経済成長により国家財政も豊かになり、日露戦争直後は20億円もの債務を抱えていたが、1920年には27億円の債権国になっていた。

・大戦景気により法人事業数は1万7000社から3万社に増加。個人商店が株式会社になり、東京、大阪に数多くのサラリーマン、労働者を生み出した。こうした勤労者を中心に大正デモクラシー、大正ロマンが花開くことになる。

 なるほど、ヨーロッパ中で戦争して物資が足りなかったのだから、日本に注文が来るのは分かります。ドイツが持っていた中国山東省の権益も簡単に奪うことができましたし。この時戦争は儲かると思って、後の第二次世界大戦に突っ走ったとも書いておりました。

 遠く離れたヨーロッパの戦争が、日本が経済的に発展する起爆剤になったと改めて知った次第です。

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