2016年10月20日(木)
小布施の街歩きは素晴らしい!
10月上旬に長野県小布施町に観光に行きました。前日長野駅のホテルに泊まり、午前9時4分に長野電鉄急行電車「Snow Monkey」に乗り、小布施駅9時半到着の26分の工程です。急行電車と言っても急行券は100円。電車はどこかで見た電車だと思っていたら、成田エクスプレスのお下がりでした。
なぜ電車の名前が「Snow Monkey」なんだろう? と思ってネットで検索し合点が行きました。雪の降る間、野生の猿が温泉に入る地獄谷野猿公苑。ここに行くには長野電鉄の終点「湯田中温泉」まで行って、そこからバス、徒歩で行き着く。外国人観光客のSNSで地獄谷の温泉に浸かる猿が超有名になり、急行電車名をスノーモンキーにしたようです。
スノーモンキー号のデザイン
小布施駅に着くと駅に隣接して観光案内所があります。以前テレビで見た一般家庭の庭を自由に見学できて、通路として通れる家にどう訪れれば良いか聞いてみました。すると、「よろしければ100円になりますが、お庭の見学を提供している案内本があります。お店が庭を提供しているのも多いですが、一般家庭の庭も多数あります。現在は120件以上の庭が登録されています。町長もご自宅の庭を提供していて結構人気があります。入って良いかどうかは、門のところにWelcome Gardenの看板が出ているので、それがあれば安心して見学できます。」と説明を受けました。
「へー、町長までお庭を開放しているのですか。早速訪ねてみます。その開放している庭の本を下さい。この観光案内所の皆さんはボランティア方なのですか?」と聞くと、「我々は小布施町の職員です。」との答え。住民が庭を提供し、町職員が観光案内所で働いているのか。えらく観光に力が入っています。
Obuse Open Garden Book
歩いて7分くらい歩くと町の中心「中町」に行けます。交差点には和菓子屋の「桜井甘精堂」、「泉石亭」、「かんてんぱぱショップ」などがあり、午前10時時点で大勢の観光客が買い物をしています。瓦屋根が載った和風の建物と和風の庭、加えて西洋風のガーデンも多く、美しい空間が連続しています。建物は新しく築10年くらいの感じです。
かんてんぱぱショップ付近の沿道の花壇
かんてんぱぱショップのテラス
その先を少し行くと、モンブランのケーキ「朱雀」で有名な小布施堂、桝一市村酒造酒場に着きます。後で知ったのですが、この両社は市村一族経営のお店です。町長の市村良三氏も小布施堂副社長だった方。小布施堂の和風の庭は素晴らしく、大勢の人が雰囲気を味わっていました。そしてお店の案内には、本日の「朱雀」は売り切れと書いてあります。まだ午前10時半なのに。
小布施堂の中庭
その隣は桝一市村酒造で、自社の日本酒を売っています。入口には大きな木の酒樽が置かれ、古風な趣を演出しています。奥には「蔵部(くらぶ)」という日本酒を飲めるカウンター席があります。帰りには必ず寄ろう!
そこから町のメインの施設である「北斎館」までは直ぐです。入場料1000円で葛飾北斎のコレクション、当日展示されていた他の江戸時代の浮世絵師の絵を楽しめました。葛飾北斎の最晩年に町の豪商・高井鴻山(こうざん)の招きで4年間も小布施に逗留。その間に沢山の絵や岩松院(がんしょういん)の天井画、神輿の絵などを残したことことに由来し、30年前に町おこしで開館したそうです。現在の建物は近代的で新しく、昨年建て替えとのこと。
北斎館を出ると感じの良いレストランは長蛇の列。仕方なく焼き栗を買ってほうばりました。
栗の幹を敷石にした歩道「栗の小径」を通ると市村町長宅があります。Welcome Gardenの看板を見つけ、安心して入らせてもらいます。そこには灯篭など和風の庭園が広がっています。
栗の小径 敷き詰めたのは栗の木のブロック
市村良三町長宅のお庭
北斎館のそばに黒塗りの和風建物があります。店舗じゃないし何だろう?そう思って中を覗くと「桝一客殿」となっています。ネットで検索すると、小布施堂が経営しているホテルだと分かりました。
小布施堂のHP内に案内があり、「2007年9月にオープン。江戸時代の土蔵や昭和初期の土蔵倉庫などの建築物で構成され、内部は洋式スタイルながらどこかモダン和風の雰囲気が醸し出されています。部屋は全12室で、書斎タイプ、リラックスタイプ、リビングタイプの3種類からなり、ご旅行の目的により使い分けることができます。」とあります。
そう言えばこのホテルもテレビで見たな。ちょうど犬を連れて散歩中のご老人がいたので、話しかけてみたら色々教えてくれました。「このホテルはセーラが作ったんですよ。もう、セーラはいないけど。」誰だろう、セーラって?
その後もご老人は色々教えてくれました。
・おぶせミュージアム・中島千波館は行くべき価値がある(中島千波氏は芸大の先生で画家)。桜の絵を書かせたら日本一と言われている。
・岩松院の天井画は葛飾北斎作でこれは見た方が良い。ただ描いた当時の葛飾北斎は80歳後半なので、実際には一緒に来ていた葛飾北斎の娘がかなりの部分を手伝った(描いた?)とも言われている。娘の名前は葛飾応為(かつしかおうい)。
・寺としては、浄光院の方が格式が上のお寺。岩松院から10分も掛からないで行けるから見ておいた方が良い。
ご老人の推奨通り、おぶせミュージアム → 岩松院 → 浄光院と回りました。途中、何件かのWelcome Gardenを眺めながらなので、歩いていても飽きることがありません。Welcome Gardenという点が複数連なっているので、全体として線として楽しめます(徒歩での移動が苦にならない)。
苔むした茅葺屋根の浄光院
たっぷり歩いて疲れたので、最後は桝一酒造のカウンターバーの蔵部(くらぶ)で一杯やります。錫(すず)でできたぐい飲みで、少量づつ桝一酒造のお酒を楽しむことができます。
桝一市村酒造場の入り口付近
蔵部(くらぶ)のカウンターにて
「小布施のまちづくり」という冊子を見ると下記の内容が書かれています。
・小布施の街がこんなに綺麗になったのは、昭和51年の北斎館開業から。栗菓子店が頑張って、「小布施と言えば栗」と言われるほど栗で町興しを図った。町並みは最初に北斎館周辺約16,000㎡を町並み修景事業として整備。周囲の景観との調和と美しいまちづくりのための指針「環境デザイン協力基準」を定めるとともに、「住まいづくりマニュアル」などを作成。「ソトはミンナのモノ、ウチはジブン達のモノ」という意識が住民の間に芽生えてた。
・町並修景事業で「景観」を意識した町民が、歩調を合わせるように「花」によるまちづくりを展開。さらには、「フローラルガーデン」の開園、「花仲間コンベンション・全国ガーデニングサミット」の開催。丹精込めた家庭の庭を開放する「オープンガーデン」は15年目を迎え、130軒に拡大していく。
・平成2年には「小布施町うるおいのある美しいまちづくり条例」を制定。道路側に建っていた建物もできるだけ奥に建ててもらい、道路側はガーデンとして歩く人たちに楽しんでもらう。
このような取り組みを30年、40年と継続してきた町並みが今の小布施の町並みとなっています。こんな美しい町は日本で初めてだ!と感動したのも、継続的な取り組み、住人の人たちの理解と行動があったからだと知りました。小布施の取り組みはやる気になればどこの町も真似することができます。絶好の生きた良いお手本です。
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