2010年7月12日(月)

外資系投資家の動向

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

1.撤退モードの外資

 昨年来大型不動産を積極的に購入している会社はごく少数で、投資した不動産の売りサイドに回っている不動産会社、ファンドが大半の状況です。売りサイドで良く聞く名前は、シンプレックス、エートス、AIG、GEなどの外資系大手の名前です。ローンスターもホテルファンドのソラーレ案件を売却に出していると聞いています。ただチサンホテル等の古いホテルが多いので、成約情報は聞こえてきません。

 モルガンスタンレーは大々的に不動産を売却するという話は聞いていませんが、傘下の不動産ファンドMSREF(メズレフ)で運用総額88億ドルに対して54億ドル(約5000億円)の損失計上の怖れありとウォール・ストリート・ジャーナルに出ていました。損失計上した分過去に購入した不動産案件を積極的に売却で動く可能性もあるかも知れません。

2.不良債権外資投資家

 デフォルトしたノンリコースローンなどに対しては、積極的に投資を行っている会社も昨年くらいから出て来ました。ちまた債権購入の有力先で名前が挙がるのは、米国系日本法人のフォートレス(フォートレス・インベストメント・グループ)とエリオット(エリオット・マネジメント・コーポレーション)でしょう。

 フォートレスは1998年に設立され、2007年2月に米国のヘッジファンドとして初の上場を果たしています。日本法人は3年前くらいに設立しています。7月9日の日経新聞記事では、ダヴィンチ・ホールディングスのスポンサーになったとも出ていました。BNPパリバからダヴィンチ向けの債権を買い、かつ株式の過半を取れる権利を得たとの内容でした。

 一方のエリオットは、米国で1977年に設立された資産運用会社です。今年になってキャップマークのサービサー会社プレミア債権回収のスポンサーにもなりました。プレミア債権回収は元々GMの金融部門GMACC日本法人のサービサーで、日本でのサービサー免許第1号の会社です。ノンリコースローンやCMBSの債権管理を数多く手掛けており、スポンサーが変われば、今後の成長も期待できそうです。

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