2010年7月17日(土)

5-6 省エネと環境対策

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 地球全体の温暖化対策ということで、国別に産業界、家庭ともCO2排出抑制が目標として掲げられています。産業界の内、オフィスビルでも省エネ対策を徹底することにより、電気使用量の削減、引いては温暖化対策が必要となっています。

オフィスビルの電気代で一番コストが掛かっているものは空調(エア・コンディショニング)料金です。(財)省エネルギーセンター統計によると、空調関連が約40%、照明が21%、コンセント(パソコン、コピー印刷機等)が21%の比率となっています。空調代は暖房代より冷房代の方が圧倒的に使用頻度も高く、コストが掛かっています。今のオフィスは窓が閉鎖(羽目殺し)されたものが多く、パソコン等の熱を発生させる機器が多くなったため、冬場でもオフィスの中は暖かく冷房を使ったりしています。当然夏場は暑くなり、強い冷房が必要となります。

オフィスビルで省エネ対策を考えられることは、下記のようなものです。

①熱線吸収ガラスと熱線反射ガラス

 熱線吸収ガラスは、板ガラス組成の中に微量の鉄・ニッケル・コバルトなどの金属成分を加えて着色されたガラスで、日射熱を吸収することにより、ガラスを透過する熱の量を抑えます。熱線反射ガラスは、表面に金属酸化物を焼き付けたガラスで、日射エネルギーを反射し冷房負荷を低減させます。

②屋上緑化

 屋根が受ける太陽熱量はビルの中で断トツ一番で、屋上を緑化することは大きな断熱効果があります。しかし屋上は昼夜で寒暖の差が激しく、通常の植物ですと水やりを怠ればすぐに枯れてしまいます。寒暖の差が大きくても生きられるセダム等の植物が屋上緑化に使われていますが、管理上はあまり楽とは言えません。屋上コンクリートに直接日光が当たらなければそれなりの断熱にはなりますので、例えばスノコを敷くだけでもそこそこ効果はあります。将来的には太陽光発電(ソーラーパネル)が普及して、屋上の温度を下げるだけでなく、エネルギーを作り出す場に変わって行くと思われます。

③照明器具

 現在の主流は蛍光灯ですが、いずれ発光ダイオード照明(LED)に取って代わられるのでしょう。蛍光灯の場合は1本当たり約55ワット、LEDの場合はもう少し明るくて約20ワットなので、凡そ消費電力は3分の1で済みます。ワット(W)は消費電力のことで、1キロワットアワー(KWh)というのは1000Wの電化製品を1時間使ったときの消費電力ということです。現在東京電力で1KWh25円くらいでしょうか。これを基にある事業所が、蛍光灯55W/本、蛍光灯が100本、1日の使用時間12時間と仮定すれば、1日の電気代=0.055W×100本×12時間×25円/KWh=1,650円と言うことになります。LEDであれば、概算この1/3くらいで済むと思います。

④服装

 クールビズですっかり有名になりましたが、半袖、ノーネクタイで涼しい恰好をしようということで、夏場の導入は大賛成です。沖縄では5月くらいから「かりゆし(沖縄県産のアロハシャツ)」が正式な服装になり、県庁でも銀行・企業でもかりゆしを着始めます。かりゆしはシャツをズボンの外に出すことで、余計な熱は体に籠らなくなり、体感温度を下げることができます。逆にネクタイをすれば体温が体の中に籠り、暑さもストレスも上昇してしまいます。高温多湿の日本で、スーツを着てネクタイを付けるなどは、本当に不要なことだと思っています。

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