2010年7月20日(火)

銀座めざマルシェ

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 フジテレビが鳴り物入りで今年開業させた「銀座めざマルシェ」ですが、現在のところ非常に寒~い状況になっています。場所はあまり商業性がない外堀通り沿い(銀座2丁目3番)、東芝ビルの向かいです。

 銀座めざマルシェは日本の47都道府県の名産品を集めて、展示販売すると言うコンセプトで作られた商業ビルです。フジテレビの番組を使って宣伝を繰り返し、看板アナウンサーが出身県の応援を行っています。テレビの力で開業当初こそ人も並びましたが、現在では土日はまだ一見さんが訪れるものの、平日は人もまばらな状態となっています。

 一度行って見れば分かりますが、商業ビルとしては色々欠点が目に付きます。上下の行き来がエレベーター以外は外階段を使わなければなりません(1棟利用の商業ビルで外階段はあり得ない)。エレベーターの数も箱の小さい2基だけです。最初の設計は各階毎の店舗ビルだったものを、途中から1棟利用に変更してしまったのでしょう。

 また肝心の商品ですが、地元を代表する名産品とは程遠い、乾きもの、冷凍・冷蔵品ばかりが目立ちます。デパ地下で売られている地方物産品をイメージして行くとがっかりしてしまいます。この商業ビルは、テレビ局がCM依存から脱却する実験店だったのでしょうが、今見る限り敗戦濃厚です。テレビ局主催のイベント事業、製作委員会方式の映画等が上手く行ったので、次はテレビがスポンサーの商業ビルをと思ったのでしょうけど、まあ商売のセンスは感じられません。

 同じ時間に有楽町交通会館1階の「北海道どさんこプラザ」に行ってみると、その違いが明らかです。北海道を代表する食品(冷蔵魚、加工肉、乳製品、お菓子等々)が集められ、見ているだけでも北海道気分を味わえます。来ているお客さんも買う気モードムンムンで、籠に一杯買い込んでいます。

  同じく交通会館1階にある「むらからまちから館」だって、どさんこプラザに負けないほど何時も混雑しています。乾物が多いのですが、買いたくなる本物の乾物が揃っています(個人的にはずらっと並ぶ日本酒ワンカップが大好きですが)。むらからまちから館は日本全国の名産品を集めた物産館ですが、銀座目覚ましマルシェは、ここをモデルにしたのではないでしょうか。

 銀座めざマルシェが取るべき戦略は、47都道府県の気の抜けた商品をただ並べる今の形態を直ぐに改めるべきことだと思います。1フロア1県とし、1カ月か2カ月でフロアごとに出店者が変わるようにすれば、来るお客さんも変化が楽しめますし、出店者も気合が入ると思います。ただ本当にこの手の店をやるのは、何も縦長のビルでやらないで、フロア面積の広いデパートの1フロアを借りて運営すれば良かったのでしょう。

追記)平成22年11月25付で銀座めざマルシェを運営する日(株)ジェイエフエーが自己破産という記事が出ていました。記事によると” 今年1月には、めざましテレビ(フジテレビジョン)とコラボレーションした全国物産館「銀座めざマルシェ」をオープン。当社が大半を出資する有限責任事業組合が運営を手がけるなど、事業領域を拡大し、2010年2月期には年売上高約27億7000万円をあげていた。 なお、「銀座めざマルシェ」に関しては、フジテレビジョンが運営を引き継いでいる。” となっていました。なるほど、今まではフジテレビではなく外部に任せていたのか。ただ、テレビ局のことですから、おそらくまた外部の会社に委託してダラダラ運営を続けていくのでしょう。

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