2010年7月29日(木)

江戸城再興

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 着工当初はあまり気にも留めなかった東京スカイツリーが、どんどん立ち上がるごとにその存在感が増しています。あの閑散としていた吾妻橋、押上に連日大勢の観光客が押し駆け大賑わい。これからまだ200m高くなるのですから、完成時には東京一の観光名所になること間違い無し。東武鉄道が社運を掛けた1140億円の投資も何とかなりそうです。

 東京観光の飛車角の飛車ができたので、ここはもう一枚大駒の角が欲しいところです。 そしてこの答えは、“ 江戸城 ”だと考えました。あの閑散とした江戸城跡に、本物の江戸城が蘇ったら。これができたら日本中から人が見に来るし、海外からの観光客も必ず見に来ます。パリに行ったらヴェルサイユ宮殿に行くし、ローマだったバチカンに行く。そして東京に江戸城があれば、必ず江戸城を見に来ます。ちなみに江戸城のあった場所は、大手門の近くで無料で見学できます。三の丸があって二の丸があって、それで本丸跡があります。天皇陛下の暮らしている御所からは離れていますし、現在ただの野っぱらです。

 昨年熊本に行き、10年ぶりに熊本城に行きました。元々石垣の雄大さでは日本有数の城ですが、昔あった「本丸御殿大広間」、「数奇屋丸弐階御広間」を復元し、見事に江戸時代の城に戻っていました。平日なのに大勢の観光客が押し駆け、かなりの活気です。熊本城を見に来た観光客は、次はやっぱり馬刺しを食べようと言うことで、下通(しもどおり、熊本の繁華街)の馬刺し高級店も賑わっていました。

 江戸城を復元というのは、大阪城や名古屋城のようなコンクリートの城を作ることではありません。昔ながらの木での工法で仕上げることを言っています。江戸時代に作った工法で、江戸時代に描いた室内の模様の復元を目指します。大阪城に上ったって感動はしないけれど、昔から現存する弘前城なら小振りでも感動するし、姫路城はでっかい城なのでもっと感動します。

 当然お金は掛かるでしょう。でも江戸城の再現が大きな感動を生むのであれば、入館料だって高く取れるので採算に乗るはずです。やろうと思えば、PFI(Private Finance Initiative)方式で全部民間の金で作ることもできます。

 1日1万人が見に来て、1人1000円の入館料を払うとすれば1年間で

 1000円/人×1万人×365日≒36億円の売上となります。この内40%をランニングコストとすれば、36億円×(1-40%)≒20億円が純収益で残ります。20年で元を取ろうと思えば総投資400億円、30年なら600億円まで投資できます(この際、利払い、減価償却など細かいことは言わない)。まあ400億円くらいあれば昔の工法でも江戸城はできるんじゃないでしょうか(根拠0)。

 江戸城の本丸を作った後は、「大奥」も作ります(浅野ゆう子さんに週一くらいで友情出演してもらいましょう)。奉行所は、ちょっと場所は違うけど(北町奉行所は東京駅の辺り、南町奉行所は有楽町のイトシア辺り)作れるなら作っちゃいましょう。

 建設費は民間が出して、運営も民間が行う。そして肝心の土地の地代は、どうするか。民間企業がやる気を出すために、30年間地代をタダにすれば良いのです。ついでに建物の固定資産税もタダにしてしまう。どうせ今は収益0なんだし。本物の江戸城ができて東京に観光客が今より300万人でも増えれば、地代0円なんて安いものです。30年後に儲かっていれば、地代をもらって、固定資産税を掛ければ済む話です。

 江戸城本丸、大奥が復元されることを夢見て、ゼネコンの方一緒に夢を語りましょう。自民党、民主党の後ろ向きな話ばかりに付き合っていても、国が滅びるばかりです。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑