2010年8月9日(月)

ビル投資競争が復活

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 最近アセットマネジメント会社(AM会社)、不動産仲介会社の話を聞くと、投資家の不動産購入マインドがかなり復活しているようです。共通しているのは、皆が欲しがる優良ビルは少ないので、入札などではキャップレートが下がっている、すなわち価格が上昇し始めている、ということでした。

 AM会社、不動産仲介会社の話では

・  AM会社で探しているのは、賃貸住宅(レジデンス)が多い。昨年くらいまでは都内レジデンスでキャップレート6.5%くらいを言っていたが、最近は6%フラットくらいが相場。案件が100億円単位でまとまったりすると、6%を切ったくらいでも検討するところもある。ただ、AM会社で本格的に買い始めているというところまでは行っていない。

・  そこそこの優良ビルだと、キャップレート5%では買えない。REITが購入を検討するビルだと、キャップレート4.5%くらいだろう。ルネ青山をドイツのAMアルファが買ったが、おそらくキャップレート4%前半くらいの水準ではないだろうか。1等地Aクラスであれば、4%フラットか少し切るくらいの水準も出るかも知れない。

・  ジョーンズ・ラサールは、外資系の中でも一番積極的に購入している。不動産取得担当者(アクイジション)も増員している。

・  Aクラスのビル賃料も、大底は打っている。六本木ヒルズでも空室がかなり減ってきており、1フロアごと借りるテナントも最近決まった。グーグルが入居を決めた2010年上旬頃が大底で27千円/坪~28千円/坪。今は32千円/坪~33千円/坪くらいではないだろうか。丸の内のAクラスビルは、42千円/坪~45千円/坪くらいの水準だと思う。

・  ただ、欲しがっているのは全て東京都心部のビルに対してであり、その他のエリアを検討する不動産ファンド、REITはまずいない。

 他社が買い始めれば自分も買おうというのは人間心理、今年後半はやや明るさも出てきそうです。 

追加情報

 8月8日、日経新聞朝刊に三井不動産岩沙社長のインタビュー記事が出ていました。

・  オフィス需要も都心立地、設備の優良なビルでは、新規事業を始めようと入居企業の借り増し(増床)の動きが出てきている。

・  REITが1月~6月に取得した物件は、総額3663億円(対前年比約1.5倍)

・不動産投資目的の私募ファンドも、合計1兆円組成(ファンド・レイズ)されている。海外投資家は、日本の不動産が底値にあり、買い時と考えている。

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