2010年9月16日(木)

事故物件の不動産をどこまで説明するか

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 全日本不動産協会の法定講習会を先日受けた折、大変興味深い話が自殺物件(以下、事故物件)の取り扱い方法でした。

 不動産会社は、自ら売主になる場合、仲介業者として媒介を行う場合は、重要事項説明書を作成して買主に交付する義務があります。そこには問題になりそうなことは一通り盛り込み、後で説明した、説明しないのトラブルにならないようにする必要があります。では自殺が絡む事故物件はどのように扱うか。講師の先生の説明は概ね下記の通りでした。

①   その物件で事故があった

 もちろん説明する。ただ何年前の事件まで説明するかは悩むところ。10年前の事件まで説明する必要があるのかどうか。重要事項説明義務違反に問われてはいけないので、どうしても判断に迷ったら都道府県の不動産業課に相談して決めるべき。20年前に家族が自殺をしたがその後ずうっと居住していた場合だと、説明しなくても良いであろう。

②   隣の家で事故があった

 これも原則説明しておいた方が良い。ただ、隣の方が現在も暮らしているのかどうかで結論が違う。空き家なら説明すべきだが、ご家族が暮らしているのであればプライバシー保護の問題もあるので、逆に説明すべきではない。

③   同じマンションで事故があった

  隣接住戸(上下左右)なら心理的影響もあるので、説明すべきだろう。ただ②と同様でご家族が暮らしている場合は、説明すべきではない。隣接住戸以外なら、説明義務は無いだろう。屋上から飛び降りたなど共用部に問題が生じた場合は、全体の問題として説明すべき。ただこれも管理組合で問題になっていないようであれば、説明しないで良い場合もある。

④   事故があった住宅を買った人が5年間居住後に売却する

 何年までなら説明すべきと言う基準はないが、購入した第三者が数年間住んでいた住宅なら、次に売るときには説明する必要はないであろう。

⑤   事故があった家を取り壊して業者が分譲する場合

 原因となった家は無くなっているのだが、買ってすぐに売るような場合は説明すべきであろう。数年間駐車場にしておいて、その後分譲するというようなことであれば説明はしなくて良いだろう。

 自分の家族が原因でということであれば仕方ない部分もありますが、お隣さんが原因で売りづらくなり、自分の財産の資産価値が落ちると言うのは釈然としません。ただ、買う方の心理状況を考えれば仕方がないのでしょう。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑