2010年12月1日(水)

日光東照宮の工事費はHow much?

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 朝のテレビ番組で、紅葉に彩られた日光東照宮を特集していました。その時レポーターの女性が「すごいですよね、日光東照宮は。さて、現代の工事費に換算すると幾らくらいになると思います」と視聴者に投げかけました。

 「そうだよな、これだけ立派な施設だし、手間も掛かっているから何千億かな」と独り言の私。すぐにレポーターが「何と400億円くらい掛かっているというのです。すごい金額ですよね!」

 なんだ400億円か。意外と少ない金額だな、というのが正直な感想でした。これだけ大勢の観光客が集まる一大施設が、たった400億円でできるのか。

 日光市役所にヒアリングしたところ、日光東照宮等への年間観光客は、205万人(東照宮単独の数字は無く、二荒山神社、輪王寺の合計した人数)。東照宮HPによると拝観料は大人1300円、小中学生450円。拝観料収入だけで、ざっくり20億円以上になります。

 これ加えて、宿泊施設、飲食店、土産物店、タクシー等諸々への波及効果が生まれます。ちなみに日光市のうち日光地区だけで、年間宿泊者数は約133万人。単価1万円とすれば133億円、単価1.5万円とすれば200億円がホテル・旅館の収入になります。

 日光の町が今こうして潤っているのも、家康公のお陰と言うか、東照宮建設を決めた秀忠公のお陰と言うか、より壮大な施設にグレードアップした家光公のお陰か。はたまた、陰で日光東照宮建立を仕組んだとされる天海和尚のお陰か(天海はその後、上野寛永寺の初代住職に就任)。今残っているほとんどの建物は、家光公の時代の1636年に建てられたものですが、400年近く町の繁栄に貢献しているのです。

 こういう価値のある公共事業がある一方、京都に作ってしまってどうしようもなくなっている厚生労働省所管の「私のしごと館」。この建設に要した工事費も、約400億円(この他に土地代で150億円)。2003年にオープンしたものの誰も施設を利用せず、今年2010年3月にたった7年間の営業を終了しました。土地建物に550億円使って、7年間でパー。このお仕置きとして、私のしごと館建設に貢献した政治家、官僚の名前を書いた碑を京都に建て、長く世間の笑い物にして欲しいと願っています。

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