思っていた以上に高かった上海のマンション価格（２０１０年版）

都市鑑定アドバイザリー（株） 不動産鑑定士　田中祥司

　８年振りに訪れた上海でマンション相場を教えてもらい、その高額さに驚きました。現地で案内してくれたガイドの陳さんは、２９歳の独身男性。結婚をするにはマンションを購入していることが条件の上海、マンション相場には人一倍敏感です。名所旧跡を案内してもらう間、現地のマンション事情、ライフスタイルを教えてもらいました。

　下記の説明は新築マンションを前提に、元の円に対する換算レートは１３円／元で計算しています。プロからの話しでは無いので、話し３０％くらいで聞いてください。

①郊外型マンション（地下鉄４号線外側）

　東京の山手線のように、ぐるっと一周している環状線「地下鉄４号線」が一つの境界線で、この内側と外側で価格がだいぶ違う。４号線外側が郊外型マンションになり、１０年以上前は２０００元／㎡（８.６万円／坪）くらいで買えた。これが現在では大体１０倍の２万元／㎡（８６万円／坪）になっている。専有面積は１００㎡くらいあるので、郊外型で２５００万円前後。平均年収は６０万円～７０万円なので、郊外型マンションでも年収の３０倍～４０倍にもなる。地下鉄は現在１３号線まであり、４号線以外は郊外に延伸している。

　マンションを買う時に、自分で働いた貯金と親からの援助、借入で２０％くらいの頭金を作って、マンションを買う。残額は４０年、５０年くらいの長期間でローンを組む。年収からすると高額の借金なので、普通は夫婦共働きでローン返済して行く。

　共働き世帯の子供は、夫婦の親が面倒を見てくれるのが一般的。面倒を見ると言っても、１日預かるような話しでは無く、中学生になるくらいまで両親が預かって面倒を見てくれる（土日は夫婦が面倒を見るのでしょうけど）。

②地下鉄４号線内側

　４号線内側エリアの相場は、４万元／㎡（１７０万円／坪）前後。広さ１００㎡とすると、５０００万円前後の価格になる。これくらいの価格帯になってくると、普通のサラリーマンクラスでは買うことができない。

　これがもう少し中心部（静安区、蘆湾区、黄浦区等の中心）になると、７万元／㎡（３００万円／坪）前後まで価格が上昇！ちょっと広い部屋、高層階の住居だと１億円を超す物が出てくる。

⑤一番高額と言われている浦東（プートン）のマンション

　黄浦江の東側「浦東（プートン）」が、ここ２０年くらいで新しく開発が進んだ場所で、森ビルの１００階建て上海ワールドフィナンシャルセンター（上海ヒルズ）も浦東にある。上海ヒルズの南側に開発されたマンション群が上海で一番高額と言われている。眺望、高さによって違うが、１５万元／㎡（６５０万円／坪）前後と言われる。１００㎡の部屋であれば２億円、２００㎡の部屋であれば４億円になる。黄浦江沿いの外灘（英国風に言うと「バンド（船着き場）」）の歴史的建造物を見渡せ、バンドのライトアップされた夜景を見られる絶好のロケーションにある。

　上記のように高額マンションは３００万円/坪前後の水準ですので、東京都心と大差が無いところまで価格が上がっています。 上海の高級住宅の空室率５０％という記事もあり、今後の動向が気になります。

追記１）８年前上海のマンションの専有面積には、各階のエレベーターホール面積などの供用部を含むと教えてもらいました。ただ、今回聞いた話しだと、日本と同じ純粋な専有部だけでカウントすると言っていました。この辺りは、要追加調査です。

追記２）スターツが提供する上海のニュースで、「上海の高級住宅の空室率は５０％？」というのがありました。中心部の高額マンションは、値上がり期待の投資がかなり多いのかも知れません。　”９月９日付第一財経日報：中原地産・２１世紀不動産・漢宇地産は、現在、上海の高級住宅の空室率は５０％に達すると発表しました。例えば陸家嘴の財富海景や古北の御翠豪庭は約半分が空室だとのこと。特に空室率が高いエリアは、陸家嘴・聯洋・碧云・世紀公園・新天地・北静安などの高級住宅街だとしています。”

http://www.starts.co.jp/shanghai/pdf/53.pdf