2010年12月28日(火)

インド人が大勢住む町、西葛西

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 江戸川区西葛西駅周辺に、インド人が数多く住んでいると言うニュースを最近よく聞きます。IT系の技術者のインド人が多数来日し、丸の内、大手町、赤坂辺りに勤務していますが、都心部への近さ、賃料のリーズナブルさから西葛西周辺が住まいに選ばれているのだそうです。

 それでも何故、西葛西なのか?それはUR(現都市再生機構、昔の住宅都市整備公団)が開発した江戸川区清新町の「葛西クリーンタウン」等の公団団地に住めるからということです。西葛西以外でも、江戸川区一之江、船堀、瑞江駅周辺や江東区東大島の公団住宅、大島駅裏手の大島団地などの都営新宿線沿線の公団住宅に多く居住しているとのこと。

 最近は賃借人が決まらないので、外国人でもしょうがないと言う貸主さんもいますが、それでも一般的には外国人入居者を嫌がります。公団の場合は、外国人でも断られることはなく、また保証人を立てる必要もありません。外国人でも直ぐに住める公団団地に住み始め、インド人コミュニティが徐々に形成された。そうなってくると、同胞が数多くいる地域に、次々と集まってきたのでしょう。現在、日本全体に約2.3万人のインド人がいて、その10%くらいが江戸川区・江東区界隈にいるようです。

 インド人の技術者は、短期で転勤することが多いので、何時インドに戻るか分かりません。子ども達にインド式の教育をしておかないと、地元に戻った時にハンディキャップになるのではと、気が気ではありませんでした。

 こうしてインド式の教育を行う学校を望む声が強くなり、それも安い授業料で運営しようと言うことで、NPO方式でインド国際学校(インディア・インターナショナル・スクール・イン・ジャパン、現在は江東区新大橋2丁目16−6)を2004年に江東区森下駅近くに開校。英語、ヒンディー語、日本語から、数学などの基礎科目、そしてインド文化まで、幅広く学べる環境が整えられているそうです。

 実際に西葛西はどんな感じになっているか、とある土曜日午後に駅を降りて散策してみました。駅周辺は以前と変わらない感じで、日本人ばかりです。でも、時折、インド人らしき人が駅から降りてきます。その内の一人は、20数インチはある大型ディスプレーのマックのパソコンを重そうに持って帰るところ。駅周辺の食品スーパーにも男性2人組が野菜を買っていました。パチンコ店では一人も見かけませんでした。ニュースで言うほどは、プレゼンスが無い感じです。

 メッカと言われる “葛西クリーンタウン”に行けば大勢のインド人がいると思い、西葛西駅南西方500mにある団地に行くことにしました。でも、やはりここでも、インド人の方が目立って大勢いるというほどではありません。マルエツで食品を買っている数人を見たくらいです。

 地元精通者の方に聞くと、下記のようなことを教えてもらいました。

・公団団地の中でも賃貸棟に行くと、かなりの数のインド人が住んでおり、年々数は増えている。

・主食のカレーに大量の香辛料を使うので、住んでいる住戸のそばに行くと相当の臭いがある。内廊下タイプの設計もあるので、そういうところは臭いが抜けない。

・ゴミを分別して出す習慣が無いのか、分別しないでゴミを出す家が多い。また、引っ越し時に要らなくなった家財道具、電化製品を道端に捨てて行ってしまうことも多々ある。

・多くはインド人同士の仲間とだけ交流し、日本人と交流している世帯は少ない。夜遅くまでパーティーをして、騒音で揉めることもある。

 中国との関係が悪くなる一方なので、インド国家、インド人と仲良くしておきたいところです。より大勢の優秀なインド人が来日・就業してもらえれば、日本にもプラスの効果を与えてくれます。ただ、いざ一緒に暮らすとなると、生活習慣が違うので、お互いが慣れるまでは色々軋轢が出そうです。

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