2011年1月8日(土)

彦根城と夢京橋キャッスルロード

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 昨年12月上旬に、初めて滋賀県彦根城に行きました。ちょっと前まで彦根城開城400周年で、ゆるキャラの“彦にゃん”も参加し、大いに盛り上がっていたそうです。

 日本で江戸時代から現存しているお城は、全国で12ありますが、彦根城もその一つです(北から弘前、松本、丸山、犬山、彦根、姫路、備中松山、松江、丸亀、松山、宇和島、高地)。天守閣は小振りですが、歴史のある本物の城は凛としてカッコいい。天守閣内部の骨組みは、太い曲がりくねった材木(というか幹そのもの)をそのまま使っています。

 急な階段を一番上の4層にまで行くと、小高い山の上にある彦根城からは、遮るものも無く四方が見渡せます。西方一面には琵琶湖が広がり、南端には京の都もすぐそばの大津。戦国時代でも船で行けば、すぐに京都と言う戦略の要衝。石田光成の佐和山城時代から、関が原の合戦を経て、徳川家譜代大名筆頭の井伊家に与えられた彦根(井伊家彦根藩は、その後加増、加増で50万石に)。譜代筆頭を置くという重要性が分かります。

 井伊家の中でも最も有名なのが幕末の井伊直弼です。我々のイメージでは、勝手に開国して治安を混乱させ、安政の大獄で敵対者をバンバン牢屋にぶち込んだ独裁者、ヒール役として見ています。でも地元彦根に行くと、“日本を開国に導いた英雄、つらい判断を信念でやり通した傑物”として称えられているのです。地元って有難いものです。菅首相もTPP解決を考えるなら、井伊直弼を目指すと言った方が良かったかも知れません(長州で同郷の高杉晋作を目指すと言っていました)。

 彦根城も素晴らしいのですが、お城を取り囲んできれいに残っているお堀も見ごたえがあります。お城に隣接して、大池泉回遊(だいちせんかいゆう)式の旧大名庭園の「玄宮園(げんきゅうえん)」があります。庭としては広くはありませんが、落ち着きのある理知的な雰囲気の庭です。

 

 このような歴史的町並みの彦根市の新しい挑戦が、「夢京橋キャッスルロード」です。彦根城の南方に行くと、突如、蔵屋敷風の白壁の建物がずらっと並んでいます。傾斜のある切妻屋根に瓦葺きで統一された街道。江戸時代にタイムスリップしたような町並みが延々300mくらい続いているのです。建物は最近建てられた感じで、1件1件土産物店、飲食店、物販店として利用された商店街になっています。電気屋さん、銀行までも切り妻屋根、白壁で統一されています。

 お堀からの入口付近にあるたこ焼きやさんに入ったところ、他のお客さんもいなかったので、30歳代の女性店主に質問してみました。

「この通りは、なかなか素晴らしいですね。何時ごろからこういう風になったのですか?」

「平成11年に整備が始まったので、今から11年前です。昔はその壁に貼ってある写真のように、古びた何の特徴も無い商店街だったんですけど。」本当だ、ありふれた活気の無い地方商店街が、壁の写真には収められていました。

 各地で広がる城の整備。彦根市はお城は金を掛けなくても立派なものがあるので、商店街再生にお金を使ったのでしょうか?伊勢神宮のおかげ横丁と同じように、最近作られたばかりですが、古い町を訪ねた感覚が味わえるうれしい町並みでした。

追記1)キャッスルロードの町並みは素晴らしいのですが、お客さんの入りは今一の感じでした。彦根城には長蛇の列ができていたのに、いささかさびしい感じです。飲食店でも高級な近江牛を前面に出すレストランが多く、ちょこまかお金を落とす仕組みができていないのでは。川越の蔵屋敷、伊勢のおかげ横丁、倉敷の美観地区などは、土日に行くとお店も人で一杯ですので、店舗構成などを大いに参考にして欲しいと思います。

追記2)キャッスルロードからちょっと離れたお堀沿いに、駐車場待ちをする車が並ぶシックな木造建物を見かけました。和菓子の「種や」のお店でした。三越デパートでしか見ることがありませんでしたが、なかなか立派な店舗です(これが本店と思ったら、本店は近江八幡市でした)。

 その隣には、「クラブハリエ」の看板が。クラブハリエは種やが経営する、バウムクーヘンなどを作る洋菓子店です。ここにも駐車場待ちをする車の列が、ずらっと並んでいました。

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