2011年1月9日(日)

滋賀県長浜、黒壁スクエア

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 彦根駅からJR隣接駅が新幹線の停まる米原(まいばら)駅。米原駅から琵琶湖沿いに北方4つ目が北陸本線長浜駅です。彦根に行った後、長浜の黒壁スクエアを見に行きました。

 長浜のヒーローはなんといっても豊臣秀吉です。信長の家臣として足軽からトントン拍子に出世。浅井家を滅ぼした功績が認められ、ご褒美にもらったのが長浜の地で、秀吉初めての城となる長浜城を作りました。秀吉が大名になる第一歩目が長浜だったのです。

 滅ぼされた側の浅井家に嫁いでいたのが信長の妹、お市の方です。お市の方には娘3人がいて、長女の茶々丸(後に秀吉に嫁いで淀君になる)、次女の初(京極家に嫁ぐ)、三女の江(徳川2代将軍秀忠に嫁ぐ)。それぞれが波乱万丈の人生を歩んだ、母と三人娘。お江と言えば、今年の大河ドラマの主役ですから、長浜の町もお市の方と三人娘のポスターが、至る所に貼られていました。

 長浜で近年脚光を浴びているのが株式会社黒壁の経営する黒壁スクエアです。その内容は、中小企業庁の「がんばる商店街77選」に詳しく書かれています。

http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/shoutengai77sen/machidukuri/5kinki/3_kinki_08.html

このHPを要約すると

・  明治33年に国立第百三十銀行長浜支店として建てられ、その黒漆喰の洋館である外観から「黒壁銀行」として親しまれた建物があった。その後、カトリック教会に姿を変えて存続していたが、解体されマンションになる計画が立ち上がった。

・  街のランドマーク的な建物が無くなってしまうと住人が危機感を持ち、当時の市役所職員が地元の財界人に相談を持ちかけて、地元の有志達がこの「黒壁」建物を買取った。その後、建物をガラス館として利用し、再生させた。この事業を行うためにできたのが、株式会社黒壁。現在の社長は、高橋金属㈱の高橋社長。

・  平成元年7月、黒壁一号館黒壁ガラス館、二号館スタジオクロカベ(オリジナル工房)、三号館ビストロミュルノワール(レストラン)からなる黒壁スクエアが誕生した。

・  黒壁スクエアの集客力は絶大で、平成元年が9.8万人だったのが、平成10年には162万人まで観光客を集めるようになった。この効果で今までシャッター商店街だった街にも、次々と新しいお店が開店していった。当初は冷ややかに見ていた商店街の人たちも、黒壁の集客する観光客の力を認め始め、協力するようになった。 *株式会社黒壁のHP http://www.kurokabe.co.jp/about/

 長浜駅東側、歩いて5分くらいのところに黒壁スクエアと周辺の商店街があります。壁を漆喰で仕上げ、屋根は切妻の瓦葺きと庇。白い壁もありますが、黒く塗られた漆喰壁や板塀が、江戸時代に戻ってきたような雰囲気をかもし出す、一大テーマパークの趣きです。株式会社黒壁が経営するガラス工芸店は、秀逸な商品が多数並んでいました。これならわざわざ見に来て、損は無い。また来ようと思わせるお店です。

 長浜の商店街は、彦根に比べると、お店が上手に揃っています。地元料理、近江牛のお店だけではなく、洒落た喫茶店、イタリアンのお店。ガラス製品だけでなく、小物入れ、お箸、履物、和傘など、ちょっと入って覗いてみたいお店が多数並んでいます。建物を見て楽しみ、買い物をして楽しむ仕掛けができています。

 商店街をぐるぐる回って疲れてきたので、みたらし団子を買って休みました。ついでに、お店のお婆ちゃんにヒアリングしてみました。

「いつくらいから、こういう感じになったんです?」

「平成11年だから、今年で11年目です。狭い商店街だったのが、それぞれのお店が1mづつ下がって、道を広げました。その時に壁と屋根を今みたいに直したんです。」そうか、さっきまでいた彦根のキャッスルロードと同じ時期か。道を広げて、壁を壊して江戸情緒の漆喰壁に作り変え、ついでに壁も黒くしたのか。平成元年オープンの黒壁スクエアという起爆剤があったので、シャッター商店街もチャレンジできたわけです。

 ちょうど長浜を訪れた12月4日(土)は、光のイルミネーションをテーマにしたお祭りの日でした。ヨーグルトのガラス瓶などに水を入れて、ロウソクを浮かべ、夕暮れになるといっせいに灯を灯します。「いつもこういうお祭りをしているんですか?」とお婆ちゃんに尋ねると、「いや~、今回が初めてです。商店街を盛り上げようと、皆さん朝から大忙しです。」

  えらい、努力している、この商店街は。また訪れたい気持ちにさせる長浜の黒壁スクエアと商店街。大河ドラマ「江」で関東の人にも大いに名前を売って、より一層の観光客を増やして欲しいものです。

追記1)黒壁商店街から程近いところにある、1602年創建の大通寺(浄土真宗大谷派、本山は京都の東本願寺)。京都の浄土宗本山「知恩院」に似た感じですが、とにかく立派な素晴らしいお寺です。現在の建物は 1652年(慶長2年)に建てられたので、約360年経っています。黒壁まで来たら、必見です。

追記2)長浜駅の西側(琵琶湖方面)には、長浜城があります(現在の天守閣は1983年に犬山城や伏見城をモデルにし復元されたもの)。見た目は良いのですが、やっぱり本物でないと...。

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