2011年2月2日(水)

オポチュニティ・ファンド代表の話し

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 先日、新しく設立されたオポチュニティ・ファンド日本代表の方(米国人、日本語堪能)と会う機会があり、下記のような話を聞きました。 

・海外投資家の目線は、国の大きさでは無く、その国が成長するかどうかに一番着目している。成長する国であれば、不動産を買ってもその後の値上がりが期待できる。逆に成長がマイナスになる国であれば、折角投資した不動産が値下がってしまう。

・そういう意味では、6月のTPP参加合意を、日本国内で取り付けられるかどうかが、非常に重要なポイントと思っている。TPP参加が果たせなければ、海外投資家が日本に失望して、他の国への投資に回ってしまう金も多いだろう。マイナーシェアの農家のために、何故、大事な協定を真剣に議論しないのか、理解できない。

・TPP参加不合意、消費税増税先送りになれば、日本に投資する投資家も少なくなるので、長期的にはCaprateも150bps(1.5%)くらい、跳ね上がってしまうかも知れない。

・大手不動産会社の方とも話すが、彼らも相当シビアな見方をしている。今後丸の内を中心に延床面積30万坪の再開発ビルの予定があるが、賃料、稼働率とも、かなり低い水準のシナリオも考えている。

・東京で二桁の空室率になったことは無いが、今後成長が止まってしまえば、そういう事態も充分予測できる。地方都市で起こっている状況が、将来東京に起きてしまうと言うことだ。

・日本の成長力という言葉を、別の言葉で言い表すとすれば、3万円/坪以上のオフィス賃料を支払える企業が、何社いるかということ。国内では成長が止まり、力のある企業は海外に逃げて行ってしまっては、3万円/坪以上の負担力のある企業が更に少なくなる。 

「でも、日本の政治家はTPP参加合意は、まとめられないでしょうね。その後不動産が大きく値下がりする流れの方が、我々のファンドにとっては儲けられるかも知れませんが」ということで、締めくくられました。 

 民主党だけでなく、まともに国の将来の展望を示さない自民党を見ていると、国の行く末が益々不安になってしまいます。ヘッジファンドの外人の親分でさえ、こんなに心配してくれているのに。

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