2011年4月24日(日)

参加型・体験型旅館

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 際コーポレーション中島武社長が書いた本「そのお店、今なら再生できます(柴田書店)」を読んだ続きです。この中に、際コーポレーションの新しい分野として、既存の旅館の運営を引き受け、「柚子屋旅館」として運営を始めたとありました。柚子という食材をテーマに、オリジナルの料理でもてなし、その地域の文化を感じてもらう趣向です。たった8室しかない小規模旅館ですが、立派に商売になっているそうです。
 日本の旅館は、すべて京都の懐石料理旅館を真似しているだけで、その地域独自のもてなしを体現していないとの批判も書いてあります。その京風旅館に対するアンチテーゼとして提案しているのが、“参加型・体験型旅館”です。
“「荷物を下ろしたばかりで恐縮ですが、今から山に薪を取りに行きますから、一緒に来てください。山菜も摘みますよ。」、「悪いけどお客さん、そこの暖炉裏に火を起こして、この鍋をかけてくれませんか。」 そんな旅館があれば楽しいと思いませんか。これが参加型、体験型というスタイルです。” と提案されています。
 なるほど、確かに楽しそうですし、新しいスタイルです。ただ温泉に入って、仲居さんが運んできた懐石料理を食べて、酒を飲んでお終いというのも、平凡過ぎます。日常とは違うことを感じるために来た旅行なら、何かを体験することで非日常を感じたほうが、ワクワクできます。それでは、他にはどのようなことがあるのか、中島さん風の表現で考えてみました。
「裏の畑の枝豆と茄子を、もいできてもらえますか。茄子は浅漬けと天ぷらで食べましょうね。」
「鶏小屋の卵を取ってきて頂けますか。米の飼料で育てた産み立ての卵ですから、卵かけご飯は最高に美味しいですよ。」
「裏山にスダチが鈴なりになっていますから、適当に取ってきてください。お刺身にスダチをかけて食べると、美味しさが倍増します。」
「夕食でうどんを食べる方は、これから一緒に仕込みましょう。足で踏んだりして、30分くらいはかかります。」
「小川に樽を仕掛けています。ドジョウが結構入っているはずですので、取ってきて頂けますか。ドジョウの柳川鍋を食べましょうね。」
「夜は暗いですが、小川の方に行けば蛍がたくさん飛んでいます。一人じゃ危ないので、何人かで提灯を持って行ってくださいね。」
「五右衛門風呂に入りたい方は、薪に火をつけて勝手に入ってください。温度調節が難しいので、薪はあまり大量に入れすぎない方が良いですよ。」
「自然薯を掘ったことないでしょう。2mくらい掘らないといけませんが、チャレンジしてみますか」
「ワラに火をつけて、畑の長葱を入れて焼き葱を作ってみますか。長葱の皮を剥げば、洗わないでも食べられます。醤油をさっと掛けて、食べてくださいね。」
「お茶葉は上のところ数枚を手で摘んでいきます。摘んだ茶葉は、蒸して乾燥させるのですぐには飲めませんが、明日になれば飲めるようになります。お土産で持って行ってください。」
「この町全体を漆喰壁で統一しようと、盛り上がっています。来て頂いた記念に、漆喰壁作りを手伝ってみませんか。制作協力者として、名前を残させて頂きます。」
 地元の人にとっては面白くも何ともないことが、都会人には最高楽しいことも多々あります。体験型旅館でどこかが大流行になり、それが次々と伝播していけば、日本の旅行の楽しさも倍増するでしょう。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑