2011年5月8日(日)

上野公園の名建築

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 雑誌「サライ」2011年3月号で、安藤忠雄さんが上野公園の建築物について説明していました。普段何気なく見ていた上野の美術館が、有名建築家の手によるものだったのかと、改めて知ることができました。
 元々寛永寺があった上野の山は、1868年の上野戦争で、立て籠もった彰義隊に対して官軍が総攻撃を加え、伽藍を始め、寛永寺の大半の建造物が燃えてしまいました。焼失した広大な寛永寺跡は、当初医学校と病院として利用する計画が明治政府にありました。これをオランダ人医師のボードウィンが押しのけ、今の公園として残すように進言し、日本初の公園として整備されました。

①東京国立博物館「表慶館」
 明治42年に、日本初の本格的美術館の東京国立博物館「表慶館」が開館。この設計者は、日本近代設計に多大な功績を残したジョサイア・コンドルの最初の弟子だった片山東熊(とうくま)。彼の代表作である赤坂の旧東宮御所(現在の迎賓館)は、2009年に国宝に指定されました。

②国立西洋美術館(昭和34年開館)
 日本で唯一のル・コルビュジェの設計です。ル・コルビュジェと言えば、近代建築の三大巨匠の一人で、設計の世界では超有名人です。ちなみに残りの二人は、米国のフランク・ロイド・ライトとドイツのミース・ファン・デル・ローエ です。
 国立西洋美術館の実施設計は、コルビュジェの弟子の前川國男、坂倉準三、吉阪隆正が行っています。前川國男は1928年にパリに渡り、コルビュジェの事務所で師事。坂倉準三は1931年にコルビュジェの事務所に入っています。ちなみに丹下健三は、前川事務所の出身です。
 安藤さんの解説によると、コルビュジェの提唱した新しい建築のための5つの要件すべてが、この建物には表現されているとのこと。すなわち、
 1)ピロティ
 2)屋上庭園
 3)自由な平面
 4)横長の窓
 5)自由なファサード
建築に疎い私には良く分かりませんが、モダンの香りは漂ってきます。また、美術館庭園にはロダンの見事な彫刻が、何体も展示されています。

③東京文化会館(昭和36年開館)
 前川國男の設計。

④国立科学博物館(昭和6年開館)
 粕谷謙三(文部省大臣官房建築課所属)。元々は文部省科学博物局の観覧施設1871年に湯島聖堂内(現在の東京医科歯科大学の辺り?)に建てられました。

⑤東京芸術大学美術館(平成11年開館)
 六角鬼丈(ぎじょう)。

⑥法隆寺宝物館(平成11年開館)
 谷口吉生。

 今までは展示物を見にいくだけで、誰が設計したかなんて全く気にしませんでしたが、改めて見るとなかなか見事な建築物群です。東京に長く住んでいても、知らないことだらけです。

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