2011年6月12日(日)

神楽坂、江戸情緒の仕掛け

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 週末に神楽坂の町を散歩すると、遊びに来ている人の数が半端なく、溢れんばかりに人がいます。若者から中年世代まで年齢層が広いのも、神楽坂の特徴です。神楽坂の町は、何故にここまで人を魅了するのか。
 私が大学生の頃(今から30年くらい前)の神楽坂は、ギンレイホールの映画館に行くくらいで、特に何も無い古びた街でした。それが洒落た店が増え始め商業ゾーンとして脚光を浴び始めたのは、15年、20年くらい前からでしょうか。
 街を歩いてみれば分かりますが、ほとんどはコンクリート系の建物ですし、歴史的建造物と呼べる建物もありません。神楽坂(早稲田通り)から一本中に入れば、路地が入り組んでいてごちゃごちゃした街です。ただ何気に歩くこの路地裏に、神楽坂の魅力が潜んでいます。

①建物壁、塀が黒塗り
 琵琶湖のほとり長浜の街は“黒壁“で復活しましたが、黒壁の街並みは古い昔にタイムスリップさせてくれます。神楽坂の裏路地も、黒い板塀、建物の黒い壁が路地を覆っています。道路も石畳になっているので余計、江戸、明治を忍ばせる雰囲気になっています。
 塀も建物壁も板をただ黒く塗っただけですので、大したコストは掛かっていません。それなのに街全体、良い調和が生まれています。お金が無い観光地の再生では、大いに使える手法でしょう

②洒落たレストランと外国人
 神楽坂界隈はフランス人が多い街です。これは日仏学院やフランス人学校があるからだとか、雰囲気がパリのモンマルトルに似ているからなどと言われています。外堀をセーヌ川に見立てて、丘の上を登っていく感じがモンマルトル(Montmartre、殉教者の丘)なのでしょうか。そうすると毘沙門天がサクレ・クール寺院の位置づけか?
 実際には最初に住んだフランス人が、江戸情緒の残る神楽坂を気に入り、何人か集まることでフランス人コミュニティができ、その後フランス人が集まってきたと私は推測しています。そんなんでフランス料理店が街中いたるところにあり、フレンチの激戦区とも言われています。オープンカフェも数多くあり、その雰囲気を楽しみに、外国人も多数遊びに来ています。
 江戸情緒と、洒落たレストランと、外国人。これらが上手くミックスした独特の雰囲気が我々を魅了してくれます。

③昔からのお店
 神楽坂(早稲田通り)沿いにはチェーン店も見られますが、どちらかと言うと独立系のこだわりの飲食店が多いのも神楽坂の特徴です。ちょっと良い感じの割烹、小料理店などが路地裏に多数出店しています。

追記1)大江戸線牛込神楽坂駅を出たあたりで、大久保通り沿いにパン屋さんのメゾン・カイザーがあります。神楽坂にもパン屋のPAULがあります。パン屋もお洒落だと思っていたら、裏道に日光金谷ホテルのパン屋さんが出ていました(ちょっと分かりづらい場所)。円筒形の「チーズロード」もここで手に入ります。

追記2)暫く工事をしていた赤城神社ですが、すっかり生まれ変わってできていました。高台から眺める景色はなかなかのものです。

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