2011年10月1日(土)

三越銀座店のパサージュ

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 三越銀座店の新館がオープンしたのが、2010年7月。開業当初の滅茶込みは無くなりましたが、今でも結構賑わっています。

 この新館を建てた時に不動産・建設関係者をあっと言わせたのが、本館と新館の間にある区道の扱いでした。デパートの本館と新館が道路で分断されている場合、建物の間を繋ぐのは空中廊下で、上空に2本か3本通るくらいです。ところが銀座三越は、道路上空が建物(床)なのです。道路が建物の下を通っているトンネル状態です。

 おいおい、いくら何でもやり過ぎじゃないのか?とオープン当初は思っていました。それが私の思い違いであることを、知人から教えてもらいました。本館と新館の間の道路は三越の所有地になっている。土地の交換により、反対側の三越の土地を中央区に道路として譲渡し、その代替えで本館と新館の間の区道を三越所有地にしたというのです。

 なるほど、上手い手を考えやがる。本館と新館を一体地にするために、区道部分を交換で手に入れるなんて。中央区吉田不曇(うずみ)副区長のもとなら、結構フレキシブルな対応をしてくれます。

 三越の着工前のHPを見ると、「都市再生特別地区」の指定を受けて再開発を行うことが書かれています。

“都市再生特別地区とは都市再生緊急整備地域内において、既存の用途地域の都市計画にもとづく規制を適用除外とし、都市再生に必要な範囲で用途、容積率等を定める、自由度の高い計画を定めることが可能となる制度。既存の三越銀座店本館と新館計画地の間にある区道427号を廃道・付け替えして、その上空及び地下に建物を建築します。これにより一般的な百貨店に見られる本館・新館を連絡ブリッジでつなぐ建築とは異なり、本館と新館を一体化した店づくりを行います。また、元の区道は、人や車が通行可能な「パサージュ」(フランス語で「通路」の意味)として、新たな人の流れを創出しにぎわいを演出いたします。“ 

 こうして出来上がった、“三越の土地だけど、人や車が通行可能な「パサージュ」”。これが結構お洒落な感じで、良い雰囲気になっています。隣の老舗洋食店の「みかわや」、そして三越新館のオープンエアのカフェ。ここだけちょっとパリっぽくなっています。

 三越のカフェで昼間は有閑マダム達が談笑に励んでいます。春先の午後7時ごろ通った時は、貸切りの立食パーティをやっていました。オープンエアですので、お店で飲んでいるというよりは、銀座の街中で飲んでいる感じです。こういうお洒落感が、銀座の街には良く合います。

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