2011年9月4日(日)
銀行系の不動産会社はどんなものがあるか
最近でこそ日本の大手銀行は、3メガバンク(MUFG、SMBC、みずほ)に、りそな、新生、あおぞら、信託3行(三菱UFJ、来年合併予定の三井住友、みずほ)と数は少なくなりましたが、15年前は大手銀行22行体制でした(都市銀行12行、興業銀3行、信託7行)。銀行は形式上、銀行業務以外はできないことになっていたので、子会社、関連会社として不動産会社を持つことはできませんでした。
そこで銀行が取った手段は、保有株式を5%未満としながら、関連会社、親密会社で株式を支配し、経営陣も銀行OBという実質支配する方法でした。このくらいのことは所轄官庁の大蔵省も先刻承知ですが、銀行の実質支配が問題にされたことはありません。
山一證券、北海道拓殖銀行が破綻した平成12年以降、大手銀行同士の合併が繰り返されましたが、関連、親密先の不動産会社の合併はありません。従前のまま関連不動産会社が存続しています。関連不動産会社は銀行OBの天下り先ですので、ポストが減ることは好ましいことではないのでしょう。何もしなくも経営が続けていけるくらいの賃貸不動産(特に銀行に対して店舗を貸している場合が多い)を所有しているところもあれば、仲介で必死に稼ぐ必要があるところなど様々です。
それでは銀行関連の不動産会社には、どのような会社があるかまとめてみました。
① MUFG
・丸の内よろず(三菱銀行系)
・千歳興産(三菱銀行系)
・東洋プロパティ(三和銀行系、旧社名は東洋不動産)
・オークラヤ不動産、オークラヤ住宅(三和銀行系、老舗の不動産会社を三和が支援した)
・新東昭不動産(東海銀行系)
・綜通(東京銀行系)
② SMBC系
・京阪神不動産(住友銀行系)
・京阪神興業(住友銀行系)
・泉友総合不動産(住友銀行系、初期は平和相互銀行OBの送り先)
・銀泉(住友銀行系)
・室町不動産(三井銀行系)
・室町殖産(三井銀行系)
・神戸土地建物(神戸銀行系)
・陽栄(太陽銀行系)
SMBCがアセット・ビジネス・コンサルティングという新しい会社を7年くらい前に作りました。主に中央三井信託の人が出向で来て、SMBCと協力して不動産ビジネス(主にファンドへの仲介)を行っていく目的でした。その折、昔からの京阪神興業、室町不動産、銀泉の方が「俺たちがいるのに何故そんな会社を作るのか」と憤ったと言う話を聞いたことがあります。今は無くなっているようです。
③ みずほ系
・安田不動産(富士銀行系):富士銀行直系と言うよりは、旧安田財閥系です。
・昭栄(富士銀行系、みずほ信託系)
・ヒューリック(富士銀行系、旧社名は日本橋興業):富士銀行OBの西浦社長が来てから、超積極的不動産会社に変身し、2008年に東証一部に上場しました。現在も銀行系不動産会社では一番の積極的方針でビル投資を進めています。
・日本土地建物(第一勧業銀行系):京橋地区の再開発、新宿6丁目日本テレビゴルフガーデン、虎の門の開発等、かなりの積極投資を行っています。
・勧業不動産(日本勧業銀行系)
・清和綜合建物(第一銀行系)
・中央不動産(第一勧銀行系):平成16年に第一銀行系の第一地所㈱と第一勧業銀行になってからできた中央不動産㈱が合併して現在の会社になっている。
・日新建物(日本勧業銀行系)
・興和不動産(日本興業銀行系):非上場ですが興銀の資金力をバックにバブル時頑張って投資し過ぎ、それが原因でランディックと同じ運命になるかと思われました。どうにかこらえて、2004年に元の興和不動産をバッドカンパニーとして「ケイアール不動産株式会社」に社名変更し分離し、新設の会社を興和不動産として残しました。
・常和ホールディングス(日本興業銀行系)
・常和建物(日本興業銀行系)
東京建物も芙蓉グループでみずほ銀行(旧富士銀行)とは親密です。
④ りそな
・大栄不動産(埼玉銀行系)
⑤ 信託銀行
信託銀行は自社で不動産仲介ビジネスを行っているので、都市銀行のような不動産関連会社を作るインセンティブは無く、関連会社はあまりありません。主に個人向けの不動産仲介を行う関連会社として、三菱信不動産販売、住友信不動産販売、みずほ信不動産販売があります。主に信託銀行本体での余剰人員を不販会社に送り込むための会社になっています。
長期信用銀行系列と言えばランディックがありましたが、長銀のごみ箱として使われてしまい、1999年に破綻してしまいました。
総合地所(旧安宅不動産)は住友銀行系でしたが、モルガンスタンレー傘下に入りました。銀行系ではありませんが、住友生命系の栄泉不動産もモルガンスタンレーに譲渡され、その後法的整理(民事再生)されました。
協和銀行系の昭和地所はサーベラスに譲渡され存続しています。
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