2011年9月13日(火)
江戸「吉原」の歴史
江戸時代に吉原遊郭が栄えたのは、参勤交代で地方武士が妻子を地元に残してきたからと言われています。明治に入っても吉原の勢いは衰えず、約3000人の遊女がいたと言われています。
江戸時代初めは、女郎屋が鎌倉河岸(大手町の北端の運河沿い)、麹町など各所に点在していました。これを一カ所にまとめようと言うことになり、葦屋町(今の日本橋人形町辺り)に移転します。葦(あし)では“悪し”に繋がるし、葭(よし)や茅(かや)が生えているような湿地帯と言うこともあり、名前を“葭原(よしわら)”、その後もう少し字面も良く“吉原”に名前を替えました。
明暦の大火(1657年)で江戸中が燃えてしまった後、人形町の吉原も移転することになりました。今度はもっと市街地から遠い、浅草(現在の台東区千束4丁目)で330m四方で新吉原が造られました。
新吉原の周りは「おはぐろどぶ」と呼ばれた堀が設けられ、遊女が逃げられないようにされました。堀は9m幅で、堀に囲まれた吉原は“廓(くるわ)”と呼ばれました。遊女のいる廓なので、遊郭なのです。吉原遊郭への出入りは吉原大門(正面玄関)一箇所のみとされました。治安目的ということと、遊女たちの逃亡を防ぐためです。
遊女屋(お店)にも格式があり、大見世、中見世、小見世と分かれます。娼妓(しょうぎ)にも、太夫(たゆう)、格子(こうし)、局(つぼね)の三つの階級があります。これに娼妓上がりで、いろいろ仕切るのが「やり手ばばあ」です。
吉原の通り沿いには、お店毎に格子の出窓があり、そこに遊女がずらっと並んでいました。通りを歩く客は自由に見られ、好みの遊女を選べるようになっていました。これを「張見世」と言います。ハンブルクの飾り窓と一緒です。
吉原は今の世界で言えば高級店ばかりです。そこまでお金が払えない人は、品川、千住、板橋の宿場町に遊女を買いに行っていたようです。吉原で年季が明けて他にどこにも行くところが無いような遊女は、羅生門河岸(吉原から出たお堀沿い)で夜鷹をしていたという話もあります。
吉原で亡くなった遊女たちは身寄りもなく、近所の淨閑寺に遺体が投げ込まれ、淨閑寺は投込み寺と呼ばれたそうです。浄閑寺のHPによると、「浄閑寺が投げ込み寺と呼ばれるようになったのは1855年の安政の大地震で大量の遊女が死亡し、その遺体が浄閑寺に投げ込まれ葬ったことによる」と解説されています。
明治政府は明治5年国際的問題を契機に、娼妓などの解放令を発しました。しかし名目的なものに留まり、実際には公娼制は貸座敷業として存続していきます。合法の赤線、非合法の青線を経て、公娼制が無くなるのは、戦後1958年(昭和33年)の売春防止法施行まで待たなければなりません。
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