2011年8月21日(日)

中小スーパーの救世主CGC

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 テレビ東京のカンブリア宮殿で取り上げられていたのが、中小スーパーマーケットの共同仕入れシステム「CGC(Co-operative Grocer Chain)」でした。そしてこれを率いるのが、(株)三徳の堀内淳弘社長。我が家の近所にある「サントク小石川店」はちょっと良い品物を置いて、地域一番店となっています。そうか、この三徳の社長がCGCを率いているのか。

 CGCに参加している中小スーパー総数は225社。グループ全体の売上高は年間約4.2兆円と言う規模です。オリンピック、成城石井、北海道ラルズなどの有名スーパーもありますが、大体は地域に根差した中小スーパーがほとんどです。

 CGCを作った目的は、合併等により大規模化して行った大手スーパー(ダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ、西友等)に対抗するためでした。仕入のロットが少ないと、仕入れ価格が安くならない(バーゲニングパワーが無い)ので、小がまとまって対抗しようとしてできた組織です。

 板橋本社の食品スーパー三徳(サントク)を経営していた先代社長堀内かんじ氏。40年くらい前に三徳の近隣に大手スーパーが進出。それまで流行っていたお店から、あっという間にお客さんを持っていかれてしまいました。それどころか問屋が大手スーパーの顔色を見て、売れ筋の商品を卸してくれません。

 危機感を持った先代堀内社長は、1973年に東京のスーパー10社でCGCを設立。共同で商品を仕入れて、中小スーパーの生き残りを図りました。オイルショック時にもトイレットペーパーが欠品しなかったのが評判を呼び、これを契機に多数の中小スーパーがCGCに参加します。

 CGCの意思決定は、225社の社長が参加しているのでなかなか話がまとまりません。惣菜一つとっても、地域のよって味が違うし、好みもことなるからです。従って100%意見をまとまることはせずに、80%賛成ならGOするというルーズコントロールで運営しているとのこと。そしてこの決定も本部から強制はしません。100%本部の意見を通すと、各加盟店はフランチャイジーになってしまうからです。

 とにかく繁茂に会って話し合うのが特徴だそうです。地方のスーパーには有益な情報が簡単には入らない。これがCGCの会議に参加することで、何が売れ筋か、惣菜にどのような新製品を同志の加盟店は投入しているか。こういう生きた情報を手に入れることができます。

 大手スーパーには人も金も力もあるので、中小スーパーは簡単には勝てない。しかしCGCには、本気で戦っている225人の社長がいる。これらの社長が知恵を出し合い、納得して集団で動くことによって、もの凄い力になる、と言う説明で番組は終わりました。必死で生きている225社が結束しているCGCは、大手スーパーにも容易に倒せる相手ではなくなっているようです。

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