2011年10月4日(火)
あるある大事典が教えてくれたテレビ局の製作費
納豆を使ったダイエットの話が全くのデタラメだったことが分かり、潰れてしまった番組があります。そう堺正章司会の「あるある大事典」です。2007年に番組は打ち切られましたが、結局は制作した下請け会社が責任を取って幕引きされました。
何故このような番組が作られてしまったか。それは年々売上(CMの広告収入)が減少するテレビ局が、経費を抑えようと下請けの制作費を減らし続けていることに原因があります。この辺りの事情を上手に書いた本が、「2011年新聞・テレビ消滅」著者:佐々木俊尚氏、出版:文芸春秋です。
この事件で一番興味深かったところは、最初にスポンサーが支払った金額が、最後にどれだけ番組制作費に回るか白昼のもとに明らかになってしまったことです。その内容を要約すると
・メインのスポンサーの花王が、あるある大事典に出していた広告費(スポンサー費)として電通に払った金額は約1億円。その後、電通 → 関西テレビ → 一次下請けの日本テレワークへと仕事が回っていく。
・実際に捏造を行った孫請け制作会社は、800万円で制作を受託。ウィキペディアによると”番組一本につき、一社提供である花王から1億円が支払われ、そのうち1500万円を電通が受け取り、4800万円が電波料として地方局に取られ、関西テレビも電波料として500万円を受け取る。残りの3200万円が番組制作費として使用されるが、VTR制作費は860万円で、残りの2300万円がスタジオ経費として使用されていた”と出ていました(情報元は関西テレビ調査報告書、文藝春秋2007年4月号等)。
最初にあった1億円が、本当に制作する会社に渡った時には800万円になっている。スタジオ代を差し引いても、7000万円くらいが電通、テレビ局などの中間者に中抜きされている。この事実を知ってしまった花王や、同じように高額のスポンサー代を要求されていた大企業には、今まで通りテレビCMメインで広告を続けた方が良いのだろうか?そう思わせるには、十分な教訓となりました。
広告主の大企業は、より低コストで効果的な広告活動を模索し始めています。それは電通の体育会系営業を信じて多額の広告を打つことと、番組スポンサーとなることからの脱皮となります。テレビのゴールデンタイムの視聴率も益々低下しています。今後もますます視聴率低下が続き、それに併せて広告主の離反と言う動きに拍車を掛けるでしょう。
追記1)元々テレビのゴールデンのドラマは、1話3000万円くらいの制作費だったのが、現在は2500万円くらいになっているそうです。それに比べて韓国ドラマは、1話400万円くらいで購入できます(ネット記事から)。ネットで韓流反対と叩かれていますが、フジテレビも背に腹は代えられず、韓国ドラマを沢山放映しているのでしょう。
追記2)海外に行くと日本のテレビ番組は馬鹿らしいけど、結構面白いというのが分かります。これから益々スポンサーが離れていくと、こういう番組も少なくなってしまうのでしょうか。
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