2011年8月17日(水)
英国の経済事情
ニューズウィーク日本版2011・5.11号に、如何に英国が苦しい情勢になっているか書いてありました。
2010年5月にデービッド・キャメロンが第75代首相に選ばれ、破綻状態の財政を立て直すため、世界大恐慌の混乱で苦しんだ1930年代以来の緊縮財政を行っています。あまりの支出カットに、若者の失業率も高止まりしていることもあり、7月から暴動が各地で起こっています。
ニューズウィークの記事を要約すると下記の通りです。
・公共部門では今年中に数十万人が職を失う。
・公共料金を上げ、付加価値税の増税も行う。
・社会福祉手当の大幅な削減を行う。
・軍事施設から公共図書館まで様々な公的施設が売却されるか閉鎖を行う。
・英国海軍で唯一残っていた空母「アークロイヤル」も国防省のウェブサイトで競売に掛けられている。
今から30年前のチャールズ皇太子とダイアナ妃が結婚した1981年当時は、もう少し英国も余裕がありました。
・炭鉱労働者が25万人いて
・造船業、鉄鋼、自動車、菓子、衣服、ビール工場もあった。
30年経った現在は、
・これら製造業も年々縮小し、今は炭鉱業、造船業、繊維業は消滅。生き残ったメーカーもほとんどは外国資本に取られてしまっている。
・今まで北海油田は税収の1/10を賄うほど貢献していた。ロンドンのシティもNYに並ぶほど、世界の金融センターに成長した。しかし、北海油田の産出ピークは過ぎ、金融も一時期の活況は失われている。
・現在の英国の産業は空洞化が進み、北部では公共部門が雇用の40%を占めている。
イギリス人もギリシャ人とさほど違わないかもしれない、と言う言葉で記事は終わっています。
以上のように、英国はかなり絶望的状況になっているのが分かります。翻って日本ですが、まだここまで酷い状況にはなっていません。競争力のある製造業はたくさんありますし、勤労者の労働意欲もまだ高い状況です。今のうちなら、的確な政治を行えば現在の英国のような状況は避けることも可能です。
現在キャメロン首相が進めている政策は、すぐにでも日本国、自治体(都道府県、市町村)で採用できる手段です。公務員の人数を減らす、公務員の給料を減らす、公共施設を閉鎖する、高齢者の年金(特に公務員の共済年金)を減らす、年金の支給年齢を上げる、生活保護費を縮小する、高齢者医療保険の自己負担を増やす等々。キャメロン首相のような不人気政策をどうどうと主張する政治家が、早く現れて欲しいと切に願います。
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