2015年2月23日(月)

表参道ヒルズとキラリトギンザ

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 2月下旬、中国の春節。銀座の町は、中国人観光客で溢れ返っていました。同じように表参道、原宿も中国人観光客が多数押し寄せているはず。こう思って、表参道、裏原宿、竹下通りを歩いてみましたが、中国人観光客はさほど目立っていませんでした。

 それにしても表参道は何時も多数の若い方が歩いています。その活況の中で一人蚊帳の外なのが、2006年に華々しく開業した「表参道ヒルズ」です。旧同潤会アパートが建っていたのを森ビル主導で再開発。基本設計は、安藤忠雄氏が行っています。

 しかし華やかだったのは最初の1、2年くらいで、年々集客力も落ちているようです。建物は真ん中に吹き抜けの空洞があり、楕円状に作られた坂道の回廊をぐるぐる回る構造です。先日中を覗いた折は空き店舗になっているブースもありました。数カ所人が一杯で、行列ができているお店がありました。どれも飲食店で、女性に人気のパンケーキなどが食べられるお店です。

 商業ビルで建物のデザインに拘るとあまりろくな結果になりません。お客さんも最初は建物を見に来ますが、数度訪れていると建物よりもどのお店に行くかが重要になります。珍しい吹き抜け坂道の回廊があっても、気に入ったお店が無ければお客さんは来ません。

 表参道ヒルズ開業間もないころに商業コンサルタントの方からは、森ビルグループの商業部門、すなわちラフォーレ原宿のメンバーは表参道ヒルズ企画にタッチさせてもらえなかったと伺いました。商業店舗経営をよく知らないメンバーが設計陣と組んでできた建物のようです。

 最近銀座でできた商業ビルで「キラリトギンザ」がありますが、ここも現状あまり集客が芳しくありません。場所が銀座の外れの1丁目にあるのと、1階のエントランスが間口が狭くて入りづらいのとで、ビル内の人の出入りはまばらです。松屋デパートも2階以上になると人が少ないので、キラリトギンザが特別人の出入りが少ないわけではないのかも知れませんが。

 上層階は4万円/坪平均くらいで募集していたのが、テナント確定までは結構時間が掛かったと聞いています。地下1階には、1年くらい前は人気が沸騰していた俺のフレンチ、俺のイタリアンが入居しています。ここは立食ではなく、ほとんどが座って食べることができます。コリドー街程人は混んではいないようです。

 元々は平成16年くらいから銀座の地上げを十数カ所手掛けていたリテックコンサルタントが地上げしていた案件です。リーマンショック後にオリックスがプロジェクトマネジメント方式で開発を行いましたが、土地を買ったのは米系ファンドのエリオットでした(オリックスもマイナーシェアでエクイティを出しているのかも知れませんが)。

銀座1丁目、2丁目の銀座通りから有楽町駅方面にかけては、各県の物産館がここ数年で多数出展し賑わいを見せています。そういう県物産館関係を何店舗か誘致した方が賑わいは出たのかも知れません。

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