2017年2月5日(日)

脇の甘いドラッグストア

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

政令指定都市の人気商店街にビルを持つAさんから聞いた話です。

ビルの1階と2階のパチンコ店が撤退した後に、中堅ドラッグストアのX社が入店しました。X社の店舗は同じ商店街に既に2店舗ありそれ以上は必要ないように思えたのですが、それなりの高額賃料を負担して無事に契約が終わりました。

しかし、2年も経たない時点でX社店舗は閉店してしまいます。それでもX社は撤退しません。店を閉めたまま、高額の賃料を払い続けているそうです。

私:「5年とかの定期借家契約で仕方なく、賃料を払い続けているのですか?」

Aさん:「いや、普通借家契約で6か月の解約予告を過ぎれば何時でも退去は自由です。」

私:「じゃ、なんで頑張って賃料を支払っているんですか?」

Aさん:「ライバル店に出店されるのが嫌なだけですよ。ライバル店に出られて、自分たちの2店舗の売り上げに影響が出るよりは、空き店舗の賃料を支払い続ける方が良いということなんでしょう。この商店街でこれだけの店舗面積があるのはうちのビルくらいなので、」

私:「でも、自分たちで使わないんだったら転貸して少しでも赤字を減らせばよいじゃないですか。例え賃料が半額でも、丸々損するよりよっぽど良いはずです。」

Aさん「その通りですけど、出店担当の営業部長がやたら忙しく全国を飛び回っているそうです。そんな詰まらないことには関わっていられないということなんでしょう。」

私の事務所がある中央区銀座3丁目の昭和通り沿いで、am/pm店がファミリーマートになったりして、一時期ファミリーマートが3店舗ありました。ライバルコンビニ店に出てきて欲しくないので、リストラ撤退しないのです。そんなにファミリーマートばっかりやめてくれる、と正直思ったものです。現在はようやく1店舗を閉め、2店舗となりましたが。

しかし、この話に出てくるドラッグストアX社は脇が甘すぎます。毎月無駄な出費を垂れ流し続けて。一時期不動産業界で流行った用語、CRE(Corporate Real Estate 企業不動産)戦略が圧倒的に欠如しています。でもこういう企業が結構あるから、世の中回っているのかも知れません。

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