2010年7月17日(土)

5-1 ビル管理(BM)の内容・コストは

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 平成10年から始まった不良債権処理案件の中に、破綻した生命保険会社ビル絡みがいくつもありました。渋谷付近に本社があった東邦生命、千代田生命、第百生命、日本団体信用生命は“渋谷系生保4社”と呼ばれ、結局4社とも破綻してしまいました。

 その時のデータで印象的だったのが、生保系のビル管理コスト(ビル・メンテナンス・フィー)は高いというものでした。何故、生保系はビル管理コストが高いのか?それは、系列のビル管理会社が管理を行い、そこがOB社員の天下り先になっているからです。本来保険契約者から預った保険料を株式、債券、不動産運用等で運用し、収益を最大に上げなければならないのが、ビル管理の面ではそこまでシビアになっていませんでした。

 それでは、ビル管理の内容はどのようなものか整理してみましょう。

①共用部清掃業務

 エントランス、廊下、階段、窓ガラスの外側、ごみ出し、産業廃棄物処理等。

②設備関係保守点検

 エレベーター、自動ドア、空調設備、受変電設備、消防設備等。

③環境衛生管理

 受水槽・高架水槽清掃、飲料水検査、空気環境測定、害虫駆除。

④警備業務

 建物巡回警備、機械警備、管理人常駐、ガードマン常駐等。

上記がビル管理会社に払うコストですが、その他にオーナー負担で、共用部の水道光熱費、消耗品(蛍光灯)の交換費用等がかかります。

 上記管理項目一つ一つについて、ビルオーナーとビル管理会社とで管理する内容を決めていきます。共用部の清掃はエントランスは毎日するけど、廊下は週1回にしよう。窓ガラスの清掃は隔月でやっていたけど、そこまで必要ないから年4回。24時間管理人常駐だと管理コストが跳ね上がるので、日昼だけ管理人にいてもらって、それ以外は機械警備にする。タワーパーキングも管理人常駐から機械警備に変更する。

管理に関して上記のような取決めをしますが、この取り決め内容を「管理仕様書」と言います。仕様書の内容は、トイレの掃除は1日に何回、管理人は9時から17時までなど、詳細に定めており、普通はそれを見ればプロなら直ぐに分かる内容になっています(別の管理会社でも直ぐに引き継げる)。

 ビル管理コストは、どこまで管理を行うか、人を置くかどうか、建物用途は何か、建物規模はどれくらいか、共用部が多いか少ないか、セントラル空調などの設備があるかどうか等によってコストは相当違ってきます。周辺相場が15千円/坪だけど、建物グレードを上げて賃料20千円/坪目指すと言うことであれば、管理グレードもちょっとは上げた方が良いでしょう。Aクラスの大型ビルであれば、セキュリティ強化は大命題ですので、ガードマンが2人から3人くらいは常駐させる必要があるでしょう。

 それでは、管理コストの概算ですが、できるだけ省力化(人を置かないで機械に任せる)、必要以上に清掃を行わない、セントラル空調などの設備が無いという前提で、今まで多数の資料を見てきた経験では、延床面積に対する単価は下記程度と思っています。

 1000坪前後の普通のオフィスビル   800円/坪~1000円/坪

 3000坪を超えるAクラスオフィスビル 1200円/坪~2000円/坪

 500坪以上の賃貸マンション      500円/坪前後

ただしこれは単価論ですので、延床面積300坪くらいのペンシルビルであれば単価は割高になります。鑑定評価書では、総収益(賃料売上)×3%~5%と言う評価書が多々ありますが、実態の数値を考えてからパーセンテージを決めてもらいたいものです。

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