2010年9月10日(金)

老いる商業ビル

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 鎌倉駅近くで築後30年近い商業ビルを経営する方から、テナントの古さは商業ビルには決して良いことではないと以前聞きました。そのビルは飲食店舗、ブティック、サービス系店舗等が入居しているのですが、特にブティックなどは適当に入れ替わるのが望ましいのだそうです。

 お店が継続して商売をできるのは、それだけお得意様が付いているからなのですが、新規でお客さんを開拓し続けられるお店は多くはありません。最初は若かったお客さんも年が経つに連れ、お店とともにどんどん高齢化が進んでいく。商業ビルは若い世代が多く来ることによって活気も保たれるのが、古いテナントが多くいると、いつしかビル全体が若者の来ない商業ビルになってしまうと言うのです。

 事務所ビルであれば、長く居てくれて安定的に家賃を納めてくれる会社が多ければ多いほど安泰です。これが商業ビルだと、フレッシュでセンスの良いお店が適当に入れ替わり、新陳代謝することが必要なのだと学びました。

 銀座でも昔名声を誇った商業ビルが、最近はなんか暗い感じになったりしているのがあります。銀座通りの銀座5丁目という抜群の立地にある「ニューメルサ」も、どちらかというとその類です。高齢者向けのブティック、雑貨店がやたら目に付きますし、飲食店も若い世代が好むものはほとんどありません。最近5階にユザワヤ、1階にユニクロ(右隣はワシントン靴店で、地下以外をユニクロが1棟借り)が出店しましたが、その後現状あまり代わり映えしていません。

 青山通りの「青山ベルコモンズ」も活気がありません。私が大学生の頃は、敷居の高いお洒落な店だなあという感じでしたが、今となってはお客さんも少ない状況です。

 再び活気を取り戻すためには、どこかの時点でテナント総取り替えか、銀座コマツのように建替えると言う、ガラガラポンしかないのでしょうね。 

注1)銀座コマツは、銀座通りとすずらん通りの2箇所で今年建て替えが始まり、平成23年秋に竣工予定。完成後は三井不動産がマスターリースして店舗経営に当たります。メインテナントにはユニクロを予定。三井不動産は銀座2丁目の越後屋呉服店の建て替えでも、1棟全体をマスターリースして商業店舗ビル経営をしています。

注2)メルサは、名古屋鉄道(めいてつ)が経営する商業ビルです。名前の由来はMeitetsu Elegance Ladies Shopping Avenueです。銀座通り沿いに、銀座2丁目のメルサと銀座5丁目のニューメルサがあります。

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