2011年1月18日(火)

不良債権バルクセールが何故出てこないか

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 メガバンクに溜まっていた不良債権が、平成10年からバルクセール(まとめ売り)で市場に放出され、評価業務に携わるデューデリジェンス会社、鑑定事務所も大いにその恩恵に与かることができました。その不良債権処理が昨今はとんと行われず、今3月期末でも、案件が出てくる話は聞こえてきません。何故だろうと思っていたら、鑑定会社の社長が教えてくれました。

「原因は、亀井法案のせいですよ。」

「亀井法案て、中小企業円滑化法のことですか?」

「そうです。中小企業金融円滑化法がまた1年延長されることが決まったので、借入金の返済猶予が継続されます。融資銀行は返済猶予中の企業の債権を外部に売却できませんので、破綻懸念先でもそのままにしておくしかないのです。」

 そうか、当社も含めデューデリ会社は、この手の仕事が当分無さそうです。毎日睡眠5時間くらいで頑張った10年前のようなことは、少なくとも1年は無いのでしょう。

 そんな話を大手不動産部の方としていたら、

「我々も不良債権処理が進まないので、新規の売り物件がなかなか手に入りません。円滑化法は早く撤廃して欲しいですよ。」とのこと。

 亀井法案が失効したところで、溜まっていた案件がどばっと出てくるのでしょうけど、少なくとも1年間はこのまま無風で過ぎてしまいそうです。

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